海外の社会派映画が好きだ。英語でひたすらまくしたてるように会話するシーンがどうしてもやみつきになってしまう。「ペンタゴンペーパーズ」は大好きな俳優の一人でもあるトムハンクスがあの渋い感じでいっぱい喋るので楽しい。映画の内容自体は実際にあった話を基にしているのだが、それ以上にこの口論の行く末、そして二転三転する意見とまとまりのつかない新聞社の対立がおもしろい。そういや「クライマーズハイ」にも似たイメージを持っている。

巨匠スティーブン・スピルバーグ監督のもとで、メリル・ストリープとトム・ハンクスという2大オスカー俳優が初共演を果たした社会派ドラマ。ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年、政府がひた隠す真実を明らかにすべく奔走した人物たちの姿を描いた。リチャード・ニクソン大統領政権下の71年、ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をニューヨーク・タイムズがスクープし、政府の欺瞞が明らかにされる。ライバル紙でもあるワシントン・ポスト紙は、亡き夫に代わり発行人・社主に就任していた女性キャサリン・グラハムのもと、編集主幹のベン・ブラッドリーらが文書の入手に奔走。なんとか文書を手に入れることに成功するが、ニクソン政権は記事を書いたニューヨーク・タイムズの差し止めを要求。新たに記事を掲載すれば、ワシントン・ポストも同じ目にあうことが危惧された。記事の掲載を巡り会社の経営陣とブラッドリーら記者たちの意見は対立し、キャサリンは経営か報道の自由かの間で難しい判断を迫られる。第90回アカデミー賞で作品賞と主演女優賞にノミネートされた。

とても印象的だったのは度々トムハンクスが「Because the only way to assert the right to publish is to publish」と言っていたこと。今マスコミのあるべき姿勢が問われている中、あの当時のアメリカの新聞社の強い対抗心は見習うべきものもあるだろう。まあ汚職も多いのだけれど。
トムハンクスと言えば「キャッチミーイフユーキャン」とか「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」とか「ターミナル」とか「ハドソン川の奇跡」とか、まあ挙げればキリがないほど名作に出演しているんだけど、一番印象的な映像作品は、Carly Rae Jepsenの「I Really Like You」だったりする。

なんでかと言われても困るけど、渋さとお茶目さが短い時間に凝縮されていて素敵な3分半なのだ。映画と関係ないけれど。