様々なギャップ(価値観、ジェンダー、世代、言語)を埋められずに日々に忙殺され「もっといい人生があったかも」と思いつづける一家。物語はその虚無(ベーグル)から娘を救い出すというもの。元に戻るのではなく、マルチバースの自分に焦がれるのではなく(どれもうまくいってそうでそれぞれが波乱でもある)、be kindというメッセージで変えていく。。どんなに人種も性別も国籍も違っても、どんな人生でも、うまくいっててもいなくても意味があってもなくても、be kindでいようという至極まっとうでシンプルな言葉だからこそ、このカオスな映画にしっくりくるのだ。

アカデミーで7冠を獲得し、アジア人(しかもアメリカに住む移民)を主役としたこの映画がアメリカ映画祭の中心になったことは大きな快挙になる。

カンフーとマルチバース(並行宇宙)の要素を掛け合わせ、生活に追われるごく普通の中年女性が、マルチバースを行き来し、カンフーマスターとなって世界を救うことになる姿を描いた異色アクションエンタテインメント。奇想天外な設定で話題を呼んだ「スイス・アーミー・マン」の監督コンビのダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)が手がけた。経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン。いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、全人類の命運をかけた戦いに身を投じることになる。エヴリン役は「シャン・チー テン・リングスの伝説」「グリーン・デスティニー」で知られるミシェル・ヨー。1980年代に子役として「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「グーニーズ」などに出演して人気を博し、本作で20年ぶりにハリウッドの劇場公開映画に復帰を果たしたキー・ホイ・クァンが、夫のウェイモンドを演じて話題に。悪役ディアドラ役は「ハロウィン」シリーズのジェイミー・リー・カーティスが務めた。第95回アカデミー賞では同年度最多の10部門11ノミネートを果たし、作品、監督、脚本、主演女優、助演男優、助演女優、編集の7部門を受賞した。

映画.comより

色々な捉え方もあるだろうけれど、自分は以下の記事が非常に役に立ったし、これを読めばより一層エブエブがもたらす意義みたいなものがわかってくると思う。

アジア系の移民を描いた作品として、2022年を象徴する作品として、エブエブはみなければならないと言って差し支えない。