菅田将暉。

端整な顔つき。凛とし佇まい。そこに潜む闇。大人としてのクールさ。少年のような無邪気さ。
オシャレがすぎててむしろ服が土下座して着てもらってるレベル。
友達は山﨑 賢人。下北沢や高円寺で遊ぶ。ラーメンとか行く。
金持ち。金持ち過ぎてたぶん全然使い切れていない。
歌が上手い。野太い声がまたかっこいい。ギターも弾ける。女々しくない。男らしい。男も惚れる男。
あいみょんと仲がいい。多分キスはしてる。米津玄師に曲書かせてくれと言わしめる。アルバム作る。すぐツアーする。音楽好きからも評判がいい。骨太なロックをしているからウケがいい。
小松奈菜と付き合っている。小松奈菜と手を繋いでいる。小松奈菜に自分のTシャツを着させて一緒に寝ている。広い豪華でオシャレなベッドに間接照明の中で。

疲れた。眩暈がする。こんな人間が存在していいんだろうか。彼のせいで何人の私のようなゴミクズが泣いているのか彼は知る由もない。「菅田将暉カッコいい」と私を一度チラ見してからスマホ越しの菅田将暉を見て言う合コンの女はまさしく鬼である。はやくいなくなってほしいのは菅田将暉だが、世間の総意はいなくなるべきは私自身である。

もし彼がブサイクなら。売れない俳優なら。音痴なら。薄っぺらい軽薄そうな男なら。野○○平のようなイキりの模範解答見たいな人だったら。ギターがバカほど下手くそだったら。どれか一つでも欠けていたら私は叩けるのに。どっからどうみてもいい奴そうすぎて叩けない。
「俺らお高くとまってませんよ。自然体です。いつも遊ぶのも男のくだらない遊びです笑」と我々と同じ土俵に立とうとする。その遊び相手は山崎賢人であってあいみょんであって東京で超オシャレなアパレルやってるオーナーさんである。私は天王寺の汚い路地裏で汚いもじゃもじゃのおっさんと管巻いて酒を飲んでいる。この差はそりゃ合コンでも蔑まれる。
女にもてるためだけにクソつまんないことやっててほしいのに、男でも憧れるような特に無邪気でくだらない遊びもたくさんやっている。



菅田将暉が好き

真面目な話。そんな菅田将暉が私は大好きだ。役者として、人として、ふつうにイケメンという観点から好きだ。だからこそ去年出たアルバムはなんだかありきたりでつまらなかった。この路線で行くだろうとは見当ついていたが、その期待値を上回ってくれなかったことに肩透かしを食らう。

27歳の音楽が好きでオシャレで当然世界のトレンドも知っているであろう彼が選んだジャンルはいかにもだれでも飛びつきそうなオーソドックスなギターロックだった。いや、菅田将暉meetsギターはあまりに神々しすぎて鬼に金棒に変わる新しいことわざになっていいと思う。
それにしても一曲目の「まちがいさがし」はメロが素晴らしい。ピアノバラードだけどストリングスもコーラスワークもこだわりがあって陳腐にならない。「ロングホープ・フィリア」なんかも正統派ギターロックといった感じで、力強さと繊細さの合流地点が非常にクリーンだ。

でもなんだか満足できない。菅田将暉が2019年にやりたかった音楽はこれだったのかと思うと少し寂しい。日本人だなあという感想しか出てこない。andymoriが好きだと言われても意外性も何もなく「ま、だよね」しか浮かばない。世間的にはそれでいいのだが、個人的には、あんなにかっこいい菅田将暉が、中の上レベルの人間がかっこよくみせるためにやるようなギターかき鳴らし系を押し出されると物足りなく感じる。どうせやるなら後ろにバックバンドつけてタンバリン片手に後ろで手を組んで不貞腐れながら歌ってほしかった。

ギターかき鳴らし系って結構いて、DIY感とか、魂の叫び感、自作自演感が伝わりやすいすごく便利なジャンルだと思う。だからこそ、「おお!そうじゃないのか!そっちか!」と意外性をもって驚かせてほしい。

と、何をやっても何かしら文句を言われる菅田将暉だが、私はひがむことしかできないのだから、存分にひがませてもらう。