タイトルの通りです。

ザ・フォーク・クルセダーズの代表作の一つ、「悲しくてやりきれない」。何度聴いても恐ろしく切なく、でも絶望には落とさない名曲だと感じている。

珍しく古い曲の話をするので多少緊張しているが、特にこの曲に濃い思い入れがあるわけでもない。ましてやザ・フォーク・クルセダーズについて語るべき知識など一つもない。ただこの曲がドラマや映画、テレビの懐かしの名曲集で流れた時、いつも同じような絶妙な感情に陥れてくれるのだ。

基本的にフォークって、しみったれててメロでありきの音楽というイメージしかなく、あまり好きになれない。この曲も例に漏れず、イントロからAメロのギターソロから始まる。なんてわかりやすいんだ、と。でもこの曲はそれでも好きだ。何度も聴きたいとは思わないけど、テレビで突然流れると思わず聞き入ってしまう。とんでもない曲だなと舌を巻く。

この曲の良さは色々あるが、今一度、一曲くらいこれに似たような骨組みのものが人気を博してもいいような気もしてくる。

そう思うのは、まず簡素なAメロにある。サビにたどり着くに最短距離な展開は聴いていてストレスがない。もちろんそれは一長一短で、フックが少なくなるとか単調になりがちとか色々あるんだけれど、そういうの取っ払ってあれくらいバカみたいに単純な展開、昔ならではだなぁだ終わらずにもう一回くらい試してみてほしい。
今なら使える楽器も様々だし色んな凝り方もできるだろうから、単純すぎてつまんないなんてことにもならないだろうし。

そしてやっぱり歌詞だと思う。

「悲しくてやりきれない」とは一体どういうつもりか。そんなネガティブなサビ頭の歌詞があるだろうか。そりゃ当時でも「この曲出していいんだろうか」と悩むくらいだ、中々出来る事ではない。

私は決して昔の音楽をむやみに持ち上げるつもりはない。昔の曲が素晴らしいから元に戻れ!なんてことも言わないし、むしろそんなの困る。ただ、一曲くらい日本でちょっと流行るくらいなら見てみたいなぁと思う。今でいう、あいみょんは非常に近いかもしれない。

現に彼女は吉田拓郎などをリスペクト人物として挙げているほどだ。ただあいみょんが「悲しくてやりきれない」って言ったらどうだろう。私はすごく興奮する。恋愛についてではなく、自己回顧による結論のない不条理さを漏らすばかりのあいみょん、見てみたい。

失恋ソングはたくさんあるけど、「悲しくてやりきれない」なんてことにはならない。
結論を探そうとせず、「やりきれない」で片づける精神、どこかで受け継がれていないかなあと日々音楽を探している。