最強のゴジラ爆誕

いつのまにかアメリカのコンテンツになりはじめているゴジラ。20世紀末に出てきた、ほとんどでかいトカゲと化したゴジラからおよそ20年。ようやく日本人が理想とするゴジラが現れた。そしてその迫力はやはりハリウッドにかかればとんでもないものに化ける。もちろんあのミニチュアセット時代の良さも忘れていないが、さすがの一言としか言いようがない。

日本が生んだ怪獣王ゴジラをハリウッドが映画化した「GODZILLA ゴジラ」(2014)のシリーズ第2作。前作から5年後の世界を舞台に、モスラ、ラドン、キングギドラなど続々と復活する神話時代の怪獣たちとゴジラが、世界の覇権をかけて戦いを繰り広げる。また、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようと、未確認生物特務機関「モナーク」に属する人々が奮闘する姿を描く。「X-MEN:アポカリプス」「スーパーマン リターンズ」などで原案や脚本を担当してきたマイケル・ドハティが、脚本を手がけたほか自らメガホンもとった。前作から引き続き、芹沢猪四郎博士役を演じた渡辺謙が出演するほか、カイル・チャンドラー、ベラ・ファーミガ、サリー・ホーキンス、チャン・ツィイー、大人気ドラマ「ストレンジャー・シングス」のミリー・ボビー・ブラウンらが共演。


特に今回のゴジラは爽快だった。とにかく破壊に破壊を尽くす。私は昭和のゴジラを知らない世代で、昔からゴジラが好きではあるものの、そのゴジラに対する情緒だったり手作り感だったりするものはあまり重視していない。私が見たいゴジラはとにかく暴れ倒す絶望感に溢れるモンスターなのだ。そしてそのゴジラをコテンパンにやっつける圧倒的なかいじゅうたち。それが魅力の一つなのだ。
今回のゴジラはまさにその通りだった。冒頭からやりたい放題。もちろん悪い人間がでてきてそれを利用するだとかなんとかでひと悶着あるんだけど、正直あんまりどうでもいい。いかにゴジラを描くか。どう絶望的に描くか。それだけで構わない。

あまりに強大であまりに巨大すぎるこのモンスターを止めるすべがない上にそれを凌駕するモンスターがバカみたいに出てくる。本当にバカみたいに出てくる。多分脚本作った人はバカだと思う。でもそのくらいぶっ飛んでた方がおもしろい。人なんか踏んづけて殺して食っちまえばいいのだ。遠慮などいらない。

日本にできなくてハリウッドにできるは、CGを駆使したさまざま人間視点からのゴジラ像を見せることだ。前作の、空中部隊が空からゴジラをとらえるシーンは鳥肌ものだった。雲を抜けると真っ赤な大地。そこに凛と立つゴジラの頭部。あの見せ方はまさにハリウッドで拍手喝采もの。自分の映画史に残るワンシーンだった。

今作はそれほどに衝撃的なシーンはなかったけれど、でもミリーボビーブラウンの全力疾走シーンでのゴジラとの対峙はドキドキしたし、メキシコの火山から出てくるバケモノの登場シーンもすばらしかった。

という点で、今回のゴジラは大満足。もっとほしい。一回ゴジラにつまみあげられて食べられてほしい。ビルから光線浴びてほしい。


大女優ミリーボビーブラウン

次に気になった点は、主人公の娘役を演じたミリーボビーブラウン。恥ずかしながら当映画を見た時はまだストレンジャーシングスを観ていなかったので、彼女が何者かも知らずにいた。でも、その圧倒的な演技力に思わず惚れてしまった。この子役すげえ!有名になるぞ!とか思っていた。で、数週間後にストレンジャーシングスを観たら全て納得するわけですよ。あーね、もう有名人なのね、と。
しかし、彼女のキャリアも知らないのに、あの演技を見てすぐにすごいと気づけるという事は、いかに彼女が迫真の演技だったかがわかる。いや、面白い俳優だ。
ストレンジャーシングスもすっかりはまっちゃって、シーズン4を待ち望む側になってしまった。

音楽

最後は音楽。
日本の公式テーマソングは[ALEXANDROS]の「Pray」。ゴジラの主題歌を書き下ろしたときに、この曲調にする意図はよくわかる。そして曲も悪くない。というか良い。ただ、残念そこはゴジラ。[ALEXANDROS]は深く考え過ぎた。きっと川上洋平は考えたに違いない。「ゴジラっては快には買いを尽くすスペクタクルな映画だよな。だったら普通激しいアップテンポなギターメインの音楽にすべきだよな。いや待てよ、そうじゃなくて、神(王)としてあがめられるゴジラというテーマだからこそ、今回は祈りを主題にしたバラードで壮大さを出すのはどうだろうか・・・。」と。
でも私は少し違う。なぜかと言うと、裏なんてかかなくていいからだ。そのまままっすぐバカみたいなかっけえ曲を作ればいい。それを理解していたのは海外だったのかもしれない。
日本の和太鼓も、時代遅れにすらなるような古くさいハードロックのギターも。そいやの掛け声も、ここでは最高にクールだ。なんだこのバカっぽい曲は「ゴーゴーゴジラーホー!」じゃねえよ。「そいやそいやゴ!ジ!ラ!」じゃねえよ。バカか。でも間違いなくこのエンディングが流れた方が余韻を楽しめる。[ALEXANDROS]はいい曲を作り過ぎた。そしてかっこつけすぎた。