この映画の面白さって、母子物語なのに全然馴染んだ展開にならない事。しかも79年の話なのに、母子家庭なのに、思っている発言が出ない。異様に構う母親もいないし、(多少嫌いはするものの)母親を嫌いになって家出しようとかそういうことにはならないこと。

深夜に出かけるときに「どこいくの?」と聞いて「ちょっとね」とはぐらかして、「ああ、じゃあいってらっしゃい」とあっけらかんとしている事。すべてが想像する母親像とかけ離れている。

「人生はビギナーズ」で自身のゲイの父親をモデルに描いたマイク・ミルズ監督が、今度は母親をテーマに描いた物語。1979年のサンタバーバラを舞台に、15歳の少年ジェイミーとシングルマザーのドロシア、そして彼らを取り巻く人々の特別な夏を描いた。思春期の息子ジェイミーの教育に悩むシングルマザーのドロシアは、ルームシェアで暮らす写真家アビーと、近所に暮らすジェイミーの幼なじみのジュリーに、ジェイミーを助けてやってほしいと頼む。母ドロシアに扮した主演アネット・ベニングは、ゴールデングローブ賞の主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネート。ジュリーを「マレフィセント」のエル・ファニング、アビーを「フランシス・ハ」のグレタ・ガーウィグが演じた。

エルファニングのキュートさ、アネットベニングの愚直ながらスマートな力強さ。役者はどれをとっても一級品。
ただ、あまり心に残る内容ではなかったのもたしか。それはこの映画が駄作だからとかではなく、単に私の好みでなく、また私の理解できる範疇の話ではなかったことだと思う。子の自立について、親目線ではもちろん経験したことがないし、私自身も深く子供の時に考えたこともない。何が大人で何をしていけばいいのか。そこにぶち当たる壁とか困難とか、あまり思い当たる節がない。
それが決して作品の出来不出来を表すものではなく、いろんな角度からの見方が存在する映画だからこそ、好みの多様性にぶつかっただけだ。
というわけで親子とか自立とか思春期とかに興味のある人はぜひ。

音楽

Talking Heads – Don’t Worry About The Government

David Bowie – DJ


DEVO – Gut Feeling


Talking Heads – The Big Country