宇宙映画というと、30代以上はブルースウィルスを連想し、20代以下はマットデイモンを連想する。

そしてこの映画はそのどちらでもない、ブラットピットが主演を務めている。近未来、父親が海王星から地球や月などに多大な迷惑をかけている説が浮上して、息子にその始末を担当させるというお話。何を言っているのかわからないと思うが、事実そういう話なのだ。あらすじだけ聞いた友人が「スターウォーズやん」と言ったのが妙に説得力があってよく覚えている。

ブラッド・ピット主演で、太陽系の遥か彼方で消息不明となった父親を捜しに旅立つ宇宙飛行士の姿を描いたSF大作。地球外生命体の探求に人生をささげ、宇宙で活躍する父の姿を見て育ったロイは、自身も宇宙で働く仕事を選ぶ。しかし、その父は地球外生命体の探索に旅立ってから16年後、地球から43億キロ離れた海王星付近で消息を絶ってしまう。時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。さらに、父が進めていた「リマ計画」が、太陽系を滅ぼしかねない危険なものであることがわかり、ロイは軍の依頼を受けて父を捜しに宇宙へと旅立つが……。主人公ロイをピット、父親であるクリフォードをトミー・リー・ジョーンズが演じた。リブ・タイラー、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランドが共演。監督は「エヴァの告白」のジェームズ・グレイ。

近未来宇宙映画にありがちなのが、とりあえず難解な言葉を羅列して、マジか冗談かわからない理論を駆使して星間を移動したり時空を超えだすことだ。そして宇宙という虚無に等しい空間に陥った主人公たちは、ずいぶんと抽象的で結論のあやふやな概念に葛藤し思い悩むのだ。こちらからしたら一体なにを思いあぐねているのかさっぱりわからない。それはつまりオチが分からない。分からなくはないが、少なくとも心に響かない。とりあえず最後に地球に戻り、重力と酸素のありがたみと主人公と共に思い知るのみだ。なんだこの映画は。

特に今回は距離が遠い。月までは平服で行き、そのご火星まで2週間ほどの旅に出る。そこでなんか色々起きるんだけど、それが示唆するものは果たしてどこまで本筋に関係あるのか、環球の悪い自分には意義を見いだせなかった。月では無法地帯と化し、資源の奪い合いが起きている。火星ではそこで生まれそこで死ぬ人たちが現れる。その後海王星まで一っ跳び。二か月以上もかかるが、さすがに海王星での独りぼっちはこちらの気も滅入る。孤独感が半端ない。火星とは違う絶望感がある。


ただ、映像はさすがで、月でのカーチェイスはよくできており、それぞれの星(月、火星、地球、海王星)を端的にかつ耽美に表していて一目でその星がどんなものであるのかわかるものになっている。

ただ、地味である。ひたすら地味だ。映像がさすがの21世紀なのに、脚本が20世紀初頭のような地味さ。意図しているのは理解できるが、あまり映画の歴史に明るくない私にとってはその参照はあまり興奮させるものではなかった。