アメコミはあまりみたことがないので、アメコミパロディはなおさら見ない。

高校生の時友達と「ウォッチメン」を見に行って、その過激なセックスシーンと、全くもって意味不明のジョークと謎展開に誰もついていくことができず、人生一番の駄作だとみんなで笑いあったことを思い出す。
あれは、正義のヒーローのアメリカンコミックのパロディとしてダークヒーローを描いたもので、それを知っているからこそ笑える映画だった。前知識も何もなく単体であの映画を観た当時の私たちにはただただ意味不明な言動とはちゃめちゃな展開に脳がついていかなかっただけだ。

それ以来、そっちの匂いのする映画は避けてきた。王道を観たからパロディがおもしろい、というのはあれ以来の指針だ。
でも今回はチャレンジしてみようと思う。デッドプール。むちゃくちゃなヒーロー、らしい

マーベルコミック原作の人気作「X-MEN」シリーズのスピンオフで、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」に登場した異色のヒーロー、デッドプールを主役に描くアクションエンタテインメント。好き勝手に悪い奴らをこらしめ、金を稼ぐヒーロー気取りな生活を送っていた元傭兵のウェイド・ウイルソンは、恋人ヴァネッサとも結婚を決意し、幸せの絶頂にいた矢先、ガンで余命宣告を受ける。謎の組織からガンを治せると誘われたウェイドは、そこで壮絶な人体実験を受け、驚異的な治癒能力と不死の肉体を得るが、醜い身体に変えられてしまう。ウェイドは、赤いコスチュームを身にまとった「デッドプール」となり、人体実験を施した張本人のエイジャックスの行方を追う。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」でも同役を演じたライアン・レイノルズが、毒舌家で自己中心的という型破りなアンチヒーローのデッドプールに扮した。全米ではR指定作品として記録的な大ヒットを飛ばした。監督は、視覚効果分野出身で今作が初長編作となるティム・ミラー。

冒頭からいきなり観客に話しかけるメタフィクションを炸裂してもうすでにちょっと苦手な感じもあったのだが、その圧倒的な強さと案外見やすい映像のおかげでくじけることなく見続けることができた。

メタフィクションとは、フィクション作品の中のキャラクターが、自分がフィクションであること、映画内のキャラクターであることを自認して、その外側の観客である我々に話しかけてくる手法のことだ。有名なのは、古畑任三郎とか。手塚治虫作品とか。

次に、なぜデッドプールになったのか、その経緯が語られる。だらだらと主人公が延々としゃべる。このいかにもアメリカンなジョークスタイルとセリフ回しが好きな人とそうじゃない人で評価は二分するだろう。私は後者だ。でもそれで評価を低くつけるつもりはない。なぜならもうそんなことは織り込み済みだからだ。それなりに映画を観てきたら、大抵の想像はつくし、それを覚悟のうえで観賞している。
とにかく喋る。口汚い。登場人物みんな薄汚い。アメリカ人が好きそうなエロいお姉ちゃんが登場し、結婚し、セクシーにきめる。以上。

物語はさすがにシンプルで、でもXメンシリーズのキャラクターが登場するので、そこを理解しないと、それもまたつまらないだろう。私はXメンシリーズを一作も観たことがないので、だれだこいつら…とあっけにとられながらも、なんとか「ああこいつらXメンにでてくるやつか…」と察しながら観ていた。

この映画をお勧めするかは、
マーベルシリーズ(特にXメンシリーズ)を知っているか
アメリカンジョークに笑えるか
ひたすらしゃべる主人公に耐えられるか

の三点にかかっている。これを満たせるならぜひ見た方がよい。そうでないなら無理する必要はない。ちなみに私はデッドプール2は観ない予定だ。