サブカルマンガを映画化するのは自由だけど、全部みっともなくなるので基本的に興味がない。とはいいつつ、今作の監督でもある大根仁の作品の「モテキ」は大好きだ。まぁそれはキャストの問題であり、脚本やセリフ回しに面白みを感じたことはないのだが。

絶妙な細かいディテールが人気の渋谷直角によるサブカルマンガを、妻夫木聡&水原希子の共演、「モテキ」「バクマン。」の大根仁監督により実写映画化。奥田民生を崇拝する雑誌編集者を主人公に、全編にわたって奥田民生の楽曲が使用されるラブコメディ。「力まないカッコいい大人」奥田民生に憧れる編集者コーロキが、おしゃれライフスタイル雑誌編集部に異動となった。仕事で出会ったファッションプレスの美女、天海あかりに一目ぼれしたコーロキは、あかりに見合う男になるべく、仕事に精を出し、デートにも必死になる。しかし、やることなすことすべてが空回り。あかりの自由すぎる言動に常に振り回され、コーロキは身も心もボロボロになってしまう。コーロキ役を妻夫木、あかり役を水原が演じるほか、松尾スズキ、新井浩文、安藤サクラ、リリー・フランキーらが脇を固める。

サブカルのリアルを描いているはずなのに、漫画独特の誇張表現、コメディに逃げがちな感情表現、「笑えるのに泣ける」みたいな「笑えるのに」の予防線まみれで正々堂々感がなくて苦手。リリーフランキーはイタいライター役だが、イタさが異質過ぎて笑えない。
東京のそこそこインテリのいい企業に入ったイケメンが美女と付き合って振り回されて「結局男ってバカよね」に帰着する展開はもう飽き飽きだ。どうして女の恋愛は悲哀にまみれて同情的で、時に男が悪にも描かれるというのに、男の恋愛は男がバカだと決めつけられ女は”したたか”で片づけられるのは納得がいかない。
それが需要だと言われるだろうが、手元のデータにある需要ばかり応えていてなにが文化だろうか、とも思う。日本の映画はもう一つ先に行ってほしい。女性がセクシュアルな問題について、ジェンダーな問題について声を上げることが推奨されるなら、私だって声を上げたい。

男ってバカよねというカテゴライズは止めてほしい

最後に男が割を食うことで平和的解決を図らないでほしい

男性にはビンタしてもいいなんてことはない

少なくとももうそれで笑わせようとされても笑えない。飽きた。

女性は男を翻弄して人生狂わせてもおとがめなしで、かつ主人公たちを成長させる、そんな都合のいい映画ばかりなら私は観ないし、だから日本の映画はつまらないとつくづく感じさせられる。

あと奥田民生に憧れるってのがリアリティ皆無で、ディアンジェロを聴いている編集部をダシにするのもやめてほしい。いつになったらギターロックばっかりありがたがる風潮なくなるのだろう。
そりゃロックフェスなくならないわ。

もうひとつ。上のの動画のコメント欄に「童貞ぽい主人公の映画…」って書いていたけどそれは完全に間違いで、単なる勝ち組通しの東京ラブロマンス物語なので、なぜかサブカルオタクに寄りがちと思われているけど全然そんなこともない。