邦画らしい邦画、と言った感じの映画。
でも、冒頭の掴みから結構好みで、悪くない。

そしてなにより役者が全体的に素晴らしい。柄本佑は良い役者である。石橋静河も良い役者である。当然染谷将太は素晴らしい役者である。

「そこのみにて光輝く」などで知られる作家・佐藤泰志の同名小説を、柄本佑、染谷将太、石橋静河ら若手実力派俳優の共演で映画化した青春ドラマ。原作の舞台を東京から函館へ移して大胆に翻案し、「Playback」などの新鋭・三宅唱監督がメガホンをとった。函館郊外の書店で働く“僕”と、一緒に暮らす失業中の静雄、“僕”の同僚である佐知子の3人は、夜通し酒を飲み、踊り、笑い合う。微妙なバランスの中で成り立つ彼らの幸福な日々は、いつも終わりの予感とともにあった。主人公“僕”を柄本、友人・静雄を染谷、ふたりの男の間で揺れ動くヒロイン・佐知子を「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」で注目された石橋がそれぞれ演じる。

個人的にここ数年、邦画の邦画らしいあのうざったくて画一的な間の撮り方が大の苦手で、どいつもこいつも似たような撮り方しかしないなあとうんざりしているのだが、この映画もその例にもれずだらだらと長ったらしいけど、役者がいいから画がもつ。わざとそのような演出と脚本をしているのは理解できるけど、正直彼らじゃないとみる気が起きない。
それは「南瓜とマヨネーズ」がその失敗作だったことを踏まえると、柄本佑と石橋静河よグッジョブだと言いたい。

あと、目ざといシーンがなかったのも良い。どれもあっさりとしていて、うさん臭さがない。季節の移り変わりみたいなつまんないこともしないし、AVの前戯みたいなカップルの謎の「それただの監督の妄想だろ」いちゃつきシーンも少ない(あることはあるがいやらしさがない)。

しゃべらずぼーっとしていることが何かの感情のメッセージなのだと過信した作品はつまらないが、この映画は語るべき所はなるべく語ってくれている印象だ。そういう意味でも、まだましと思える理由なのかもしれない。