日本のゾンビ映画と聞いて期待するものはあまりない、というのが本音だ。中途半端な表現に予算足らずでスケールの小さな作品になりがちだからだ。仕方ない部分も多分にあるが、やはり韓国の「新感染」をみて日本の「君と世界が終わる日に」を見ると思う所は一つ二つではない。
ところでこのアイアムアヒーローはその不安点を払拭してくれるものだった。妙なリアリティがきちんとある。特に主人公の英雄のカンの鈍さはどこにでもいる冴えない男性にぴったりなリアクションだ。いつまで経っても説明を求めるでもなくオロオロしながら、ちんたら逃げ惑う。もちろん作品の進行上、車が横転して無傷だったり女子高生が都合よく登場したり、制服を頑なに脱がなかったりとツッコミどころがないわけではないが、そこは大目に見たうえで、非常に面白かった。
花沢健吾のベストセラーコミックを、大泉洋主演で実写映画化したパニックホラー。冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々に襲われ、逃亡の道中で出会った女子高生の比呂美と、元看護師の藪とともに不器用に戦いながらも、必死でサバイバルしていく姿を描く。主人公・英雄を演じる大泉と、歯のない赤ん坊ZQNにかまれ、人間に危害を加えない半ZQN状態になるヒロイン・比呂美役の有村架純、大胆な行動力でZQNに立ち向かう藪役の長澤まさみが共演。「GANTZ」「図書館戦争」シリーズを手がける佐藤信介監督がメガホンをとった。
映画.comより
なによりまず初めの恋人の徹子の感染シーンはホラーそのもの。鉄板をしっかり踏んでくれる安心感と、じっくり時間を割いて見せてくるあたり、こだわりの強さを感じる。
あまり多くの伏線を回収しないのがこの映画の特徴で、それは賛否を呼ぶこともしばしばだが、私はその映画っぽい展開を見せなかったのがよかったと思っている。ラスト、彼らはどこに行くのか。なぜ比呂美が半分人間だったのか、井浦がいつかまれたのか、など様々な憶測は考えられるのも、この作品の面白さだと思う。
劇中で歌われていたのがこちら
Allie Goetz – home on the range
思った10倍グロくて、思った5倍おもしろい映画だったので、ゾンビ映画が大丈夫でグロ耐性のあるひとは一度見ることをお勧めします。