”ヨーロッパ企画の作品”を見るのはこれが初めてだとおもう。よく聞く名前だし劇団員の方々も存じ上げている人が多数いるのに、意外と劇団自体の作品ってみたことがない。まあ、劇団初のオリジナル長編映画らしいので、それもそうか。


「サマータイムマシン・ブルース」などで知られる人気劇団「ヨーロッパ企画」の短編映画「ハウリング」をリブートした劇団初となるオリジナル長編映画。とある雑居ビルの2階。カトウがテレビの中から声がするので画面を見ると、そこには自分の顔が映っていた。画面の中のカトウから「オレは2分後のオレ」と語りかけられるカトウ。どうやらカトウのいる2階の部屋と1階のカフェが、2分の時差でつながっているらしい。「タイムテレビ」 の存在を知った仲間たちは、テレビとテレビを向かい合わせて、もっと先の未来を知ろうと躍起になるが……。主人公カトウ役の土佐和成をはじめとする劇団メンバーのほか、朝倉あき、藤谷理子らが出演。原案・脚本を劇団の代表である上田誠、監督を劇団の映像ディレクター、山口淳太が務める。

映画.comより

タイムトラベルもの、というか、時空を超えるというか、未来を見るというか、ようするにそういう話で、ということは未来の上書き、過去の修正による矛盾なんかも当然起こってしまう。こういった類の映画はそれぞれに独自の解決さkを提示するが、この映画もたしかによくできている。ある程度は辻褄もあい、どうしても現代科学では説明しようのないことは未来人にお任せする鉄板も踏んでいる。

一時間強しかないのでサクッとみられるし、丁寧なフリと解説があるので、作中で置いてけぼりにされることもない。当然演技力はみんな確かなもので、カメラワークも非常に練られていると感じた。とにかく見やすい、という感想は、そういった演者と技術とプロットとセリフのかみ合わせが非常に良かったからだと思う。

ドロステとはドロステ効果のことらしいが、凡人にはその効果とこの映画が同じことを指しているのか一回wikipediaを読んだだけではよくわからなかったので放棄した。それより、その果てで僕ら、つまり主人公たちはどうなるのか。ありきたりな「未来を知って動くより、今の関係性を大切に」というメッセージに着地せず、間違いなくドロステ効果のタイムテレビの存在がなければこの物語が提示したい未来は訪れなかったはずだ。そして未来を一緒に変えようと誓いあう二人。脚本の勝利ではないだろうか。

主題歌はバレーボウイズの「タイトルコール」映画の雰囲気にも合っていてよかった。