かつて黒人が差別対象だった時代、陸上においてもその差別は通用していた。

1936年ナチス独裁政権下で開催されたベルリンオリンピックで史上初の4冠を達成したアメリカ人陸上競技選手ジェシー・オーエンスの半生を描く。貧しい家庭に生まれながら、陸上選手として中学時代から類いまれな才能を発揮していたジェシー・オーエンスは、オハイオ州立大学でコーチのラリー・スナイダーと出会い、オリンピックを目指して日々練習に励む。しかし、アメリカ国内では、ナチスに反対し、ベルリンオリンピックをボイコットする機運が高まっていた。そして黒人であるオーエンスにとって、ナチスによる人種差別政策は、当然容認できるものではなかった。オーエンス役を「グローリー 明日への行進」のステファン・ジェームス、コーチのスナイダー役を「モンスター上司」のジェイソン・サダイキスがそれぞれ演じ、オスカー俳優のジェレミー・アイアンズ、ウィリアム・ハートが脇を固める。監督は「プレデター2」のスティーブン・ホプキンス。

陸上選手のドキュメンタリーではあるが、思った以上に政治的なシーンが多い。政治的な要素と、スポーツ歴史と、差別問題をうまく混成させていて、楽しみ方をいくつも作っていた。だから楽しい。スカッともするけど、これからくる第二次世界大戦の暗たんとした雰囲気も感じられる。

そういやスポーツドキュメンタリーってあんまり名作ない。半生を描いたような作品はどうしてもリアルに基づいて撮られているから単なる”映画作品”とは違った見方をしているのかもしれない。個人的には好きだ。とくにいまは黒人差別を描いた映画に興味があるのでなおさらだ。

音楽監督はレイチェル・ポートマン。1997年に女性初のアカデミー賞の作曲賞を受賞している有名な方。音楽も結構よかったのでその辺も注目して聴いてみてほしい。

主題歌はAloe Blaccの「Let the Games Begin」。

Aloe Blaccと言えば、Aviciiの「Wake Me Up」でボーカルを務めた人。いい声。

けどなかなか浸透しない。活動しているのかもわからないけど、どうやらyoutubeには定期的に新曲をあげているようだ。だが、新曲と思われる「Brooklyn In The Summer」の再生回数は、3か月経って70万回強。ちょっとインパクト足りない。

ぜひ色々聞いてみてほしい。最近はアルバムも出してないみたいだけど。