行きつけの美容室があって(もう何年も行ってないけど)そこには、待合室がある。その待合室には本棚があってそこには大量の漫画や雑誌が置いてあった。こち亀とかコナンとかワンピースとか。雑誌なら髪型の雑誌はもちろん、ファッション雑誌やゴシップ、テレビ雑誌など多種多様なラインナップになっていた。それは例えばラーメン屋さんとか、他にもカフェとかにもある。その辺のおじさんがやってる個人の喫茶店なんかもよくみる。あ、あと歯医者とか。

おそらくほとんどの人がそんな店に入った経験はあると思う。で、何気なくそのサービスを享受してきた。

そして大人になってふと思う。あれ、合法なんだろうか。

音楽ビジネスになると、やたらとJASRACが厳しい。使用に関しては徹底的に取り締まり、ネットではヤクザだと揶揄されている。私も過剰な徴収はよくないし、去年あった、JASRAC職員がバイオリン教室にスパイとして潜入したみたいな話はもはや狂気すら感じる。そりゃ「いつか鼻歌でも使用料取られる」と言われるはずだ。そしてそれが、あながちなくはなさそうで怖いのもある。

どうして音楽は営利目的でない教育要素としての楽曲使用ですら認めない一方で、著作物は緩いのだろう。それならまずは喫茶店のマンガを取り締まるべきなのでは?あれの方がよっぽど営利目的である。「あそこマンガ読めるからいこーぜ」となり得る。

この疑問点を持つ人は少なからずいるみたいで、ある弁護士はこう見解を述べている。

そのときに「美容院や診療所などで、客に本を閲覧させる行為は著作権法上問題とならないのか?」という議題がありました。
この場合、著作権法26条の3で規定された貸与権が問題となってきます。
美容院等における本の閲覧ですが、結論としては、「店内での本の貸し出し」については著作権侵害ではないと解釈されています。
美容院などでの本(雑誌)の閲覧は、短い待ち時間だけに限られますし、本の売り上げに大きな影響を及ぼすことも無いと思いますので、問題ないという考えも成り立つと思います。

またブックオフなどの中古販売の団体に関しては

今では、書籍レンタル業者からレンタル使用料を徴集し著作権者に還元するという制度が整っています。

だそう。

そして

当然、漫画喫茶についても、貸与権の適用対象とする動きがあったわけですが、業界団体(日本複合カフェ協会)が、「まんが文化の発展のため」という名目で、漫画家側に一定額を支払うことで、一応片が付いたようです。

また、文化庁の「店外への持ち出しを認めない限り著作権法の貸与にはあたらない」(2007年)という発表もあり、店内での貸し出しについては、貸与権の適用範囲外と解釈されています。

という事例も。なるほど、だからあれは適法なんだと。


そういえば最近大阪のミナミにあったゲームバーは潰れたらしい。任天堂に潰されたとか。なるほどゲームも認可得てないと勝手にそれを商売道具にすることはできないようだ。当然ではあるが少し寂しい。需要のあるサービスなだけに、任天堂さんにはぜひ全国展開のゲームバーを開いて欲しい。


一方で合法的なのは、駄菓子バーとか。あれはちゃんと仕入れているのでその都度売り上げに貢献しているので違法ではない。お肉仕入れたりお酒仕入れるのと同じ。

ところで、じゃあ例えば、企業が子供向けのイベントを開催した時に、なぞなぞ大会を開いたとする。参加費は無料とするが、優勝者には景品がでることにしよう。

そのなぞなぞは企業が独自で考えたものではなく、あるなぞなぞ本から拝借した問題だったとする。この場合、どこかに引用元を明記しなかったら、著作権違法にはならないのだろうか。先ほどとは違い店外持ち出しなので貸与権にはひっかかる。購入したものであれば二次利用は自由という事か。参加費が有料だった場合はどうなるんだろう。

専門家に聞いてみないと分からないことだらけだが、やっぱり書籍は権利がゆるいから著者の申告がなければオッケーってことなんだろうか。


いずれにせよ、権利を取り締まる団体次第でいくらでも事情は変わるんだなぁと思った。どちらがいいかは議論しないけど、楽なのは書籍だよね。おかげで自分も「コナンなんて一冊も買ったことないけどキャラもストーリーもざっくり知ってる」わけだし、そういう人がたくさんいるから、これだけ日本に漫画文化が浸透してるんだと思う(あくまで一つの要因としてだが)。

なら音楽だって同様の事が言えるのではないだろうか。いや、また違うんだろうか。とにかく自分が思うのは、もっと気軽に音楽を流せる国であってほしいという一点のみ。著作権が理由かどうかは知らないが、事実日本の映画には大衆音楽が流れない。いつも無音かクラシックだ。そんなリアリティのない世界を提示しておいて、どの口が「日本はリアル(日常)を切り取るのがうまい」と言えるのか。明らかに矛盾している。

色んな権利は守るべきだけど、権利を守るのは文化を守るためなのに、文化を殺しにかかっている様を見ると、なんだかなあと何とも言えない気持ちになる。