実はなかなかハードなお話で有名なピーターラビット。私も含め、多くの日本人にとってピーターラビットはさらに描かれたキャラクターかなにかの存在でしかなく、動くピーターラビットを、ましてや原作のピーターラビットを愛読している人は少数ではないだろうか。

そんなピーターラビットが実写化。

ビアトリクス・ポターによるイギリスの名作絵本「ピーターラビット」をハリウッドで初めて実写映画化。たくさんの仲間に囲まれ、画家のビアという優しい親友もいるウサギのピーター。ある日、ビアのお隣さんとして大都会のロンドンから潔癖症のマグレガーが引っ越してくる。マグレガーの登場により、ピーターの幸せな生活は一変。動物たちを追い払いたいマグレガーとピーターの争いは日に日にエスカレートしていき、ビアをめぐる恋心も絡んで事態は大騒動に発展していく。ビア役は「ANNIE アニー」「X-MEN:アポカリプス」のローズ・バーン、マグレガー役は「スター・ウォーズ」シリーズのドーナル・グリーソン。CGで描かれるピーターの声を「ワン チャンス」「イントゥ・ザ・ウッズ」のジェームズ・コーデンが担当し、デイジー・リドリー、マーゴット・ロビーら人気俳優が声の出演で参加。「ANNIE アニー」「ステイ・フレンズ」のウィル・グラッグ監督がメガホンをとった。

ドーナルグリーソンがウサギの相手役として熱演。彼はスターウォーズのハックス将軍で有名だが、今回もハックス将軍さながらの嫌味な瞬間と、憎悪に満ちた(でもどこか滑稽な)表情が存分に楽しめる。
ちなみに前半でご近所のビアと雨の中家に避難するシーンがあるが、あれはやっぱりドーナルグリーソンが主演した「アバウトタイム」を意識してのことなんだろうか。
それにしても「アバウトタイム」ではあんなに良い子だった彼が、家族もへったくれもない仕事人間を演じているのは、ちょっと馴染むのに時間がかかった(最近またアバウトタイムを見直したせいでもある)。

90分強と潔い尺でまとめ、余計なジョークを控えめにしたことは、結果的に飽きを防ぐことに成功していると思う。ニワトリジョークを定期的に挟み、ロンドンでの都会てんやわんや物語もなく、盛り込み過ぎない姿勢は高く評価できる。

とはいえ、その代わりに何かメッセージがあったかと問われればうーむとなるところで、一応わかりやすいテーマとメッセージはあるのだけど、家族にしてもなんとなく微妙だし、あえて言うなら「ごめんなさいの大切さ」くらいだと思う。謝ればオッケー。ちゃんとおでことおでこ突き合せようぜ、というメッセージ。実にシンプルである。

監督は「アニー」や「俺たちチアリーダー!」のウィル・グラッグ。今度ピーターラビット2を公開予定だそう。私はとりあえずは観ないと思う。おもしろくないわけではないが、期待値を全く超えてこなかったのが正直な感想。

音楽はポップミュージックも多用していて、ここから好きな曲を見つけられそう。ファンタジーの世界なのに、こうやって時代に囚われない音楽を使えるのはやっぱり日本の映画には圧倒的に欠けている、すばらしいコラボだと思う。

特に気になったのが、Clean BanditとJess Glynneのコラボ曲「Rather Be」をMarc Scibiliaというアーティストがカバーしていたこと。最初、Asgeirが歌っているのかと思ったが、これがかなりしっくり来ていて、このパターンもありか、と発見できた。

他にもVampire Weekendの「 The Kids Don’t Stand a Chance」など色々あるので、以下からいくつか好みを探してみてください。

Portugal. The Man – Feel It Still
Len – Steal My Sunshine
The Boy Least Likely To – When Life Gives Me Lemons I Make Lemonade
Nathan & Tonya Horton – Small as I Am
Yolanda Be Cool & DCUP – We No Speak Americano
Rancid – Time Bomb
Basement Jaxx – Do Your Thing
Vampire Weekend – M79
Big Country – In A Big Country
Dave Matthews Band – Crash Into Me
Avalanche City – Love Love Love
Vampire Weekend – Cousins
Rachel Platten – Fight Song
Remember The Name
Etta James – At Last
Josh Groban – Angels We Have Heard on High (ft. Brian McKnight)