「マイヤーウィッツ家の人々」を見ていると、娘役の俳優がとても美しくて、この人の作品が見たい!とネットフリックスで検索をかけて主演作を見つけたので視聴、といういたって純粋な下心で観賞した。

運び屋の仕事を請け負った男女が一緒に行動するうちに惹かれ合っていく姿を描いた、サスペンス風味の青春ラブストーリー。ポーランド移民の青年ダニーは、留置場に入れられた兄に強引に頼まれ、兄がやるはずだった怪しい仕事を代行することに。その内容は、ブリーフケースを乗せた車である駅へ行き、別のブリーフケースと交換するというもの。待ち合わせ場所に現われた運転手の少女エリーと指定の駅へ向かうダニーだったが、誤って別人のブリーフケースと交換してしまい……。「グリーンルーム」のカラム・ターナーと「ゲット!マイライフ」のグレース・バン・パタンが主人公の男女を好演。監督は、長編デビュー作「Gimme the Loot」がサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で審査員特別賞を受賞した新鋭アダム・レオン。2016年・第29回東京国際映画祭コンペティション部門上映作品。

映画.comより

そんなに笑わせるシーンもなく、ボケも少ないのだけれど、筋書き自体はまあまあドタバタ劇で、その分人物関係などはすっきりしていて本筋だけにちゃんと集中できるのでよかった。
1時間23分とコンパクトなサイズなのもあいまって、スピーディな展開とまどろっこしさがなく、そして二人の距離の近づき方も不自然さがない。カラムターナーが演じるダニーは移民というバックボーンと貧困を抱えながらも、その天然ぶりとポンコツさに暗さに影を落とさない。
エンディングにお互いが順番に走り追いかけるシーンも盤石で、最後の駅でのキスシーンはやっぱりこうでなくちゃという”不意さ”と”初々しさ”が両立していてむずがゆくなる。このドタバタの先にある行き当たりばったりな新しい世界は映画でしか味わえないカタルシスだ。

音楽が非常に効果的に多く用いられ、それもクラシカルなものが多い。ここでは劇中で使用された楽曲を聞き取れた限り紹介する。

Maluca – El Tigeraso

Dele Sosimi – E Go Betta

E.C. Ball – When I Get Home I’m Gonna Be Satisfied

Junior Wells – Two Headed Woman

Doc & Merle Watson – Big Spike Hammer

A. Mislayene – El Fen

Johnny Horton – Cherokee Boogie