閉所恐怖症、というわけではないけれど、一度閉まった扉が二度と開かなかったらどうしようという不安感は同じようにあるので、あまりいい気分はしない。そしてこの映画は、密室でありながらダイナミックな、シリアスなホームアローンみたいな作品だった。

夫と離婚し、娘と住む新居に越してきたメグは、その夜、強盗団の侵入に気づき、娘とともにパニック・ルーム=緊急時の避難用個室に逃れる。が、引っ越ししたばかりのこの部屋の電話がまだ通じていない。しかも、強盗の狙う大金はこの部屋に隠されていた。脚本は、監督とは初コンビの「スネーク・アイズ」のデビッド・コープ。監督と「ファイト・クラブ」で組んだ撮影のコンラッド・W・ホール、編集のアンガス・ウォールが参加。

映画.comより

レクター博士と対峙するイメージですっかり強い女性の印象が強いジョディフォスターが母親役として家じゅうを奔走する。時にはガスを吸い込みながら火炎放射を放つし、家じゅうを駆け回って強盗達を翻弄する。映像効果も素晴らしく、夜の室内の映画ながら退屈せずにみられた。

(勝手に)良い人イメージのフォレストウィテカーが悪人ながらも優しさを持った役柄で、この映画のキーパーソンとなる。

この類は大抵主人公側にハンデがあって、よくあるのは子供が病弱。今作もきっちり息子が発作を起こして、薬がないと息絶えてしまうという、どうしても避難シェルターから出なくてはならない理由が生まれてしまう。そうでもないと籠城して日が明けて警察が来て終わりになってしまうから仕方がないのだが。

監督はデヴィッドフィンチャーなのでやはり映画としての完成度においては抜群であり、おもしろさは担保されている。ただの大騒ぎサスペンスだけでなく、個々の精神状態も併せて楽しめる作品。ぜひ。