まさに家族で観たい一作。とはいっても決して軽視しているわけでも低く見積もっているわけでもない。むしろこういった作品は好みの類だ。

サンタクロースの誕生秘話を新たな視点から描いたスペイン製長編アニメーション。落ちこぼれの郵便配達員のジェスパーは、暗くて寒いスミレンズブルクの町で、人を寄せ付けない不思議なおもちゃ職人クロースと出会う。一緒に町でおもちゃを配達することになった2人の間には友情が芽生え、やがてそれが長年争っていた住民たちの間のわだかまりを解いていく。2Dの手描きアニメーションながら、キャラクターを照らすライティングなどの新たな技術によって映像に3Dのような立体感をもたらしている。第92回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされた。Netflixで2019年11月15日から配信。

映画.comより

つまるところサンタクロース誕生秘話。数々のサンタ伝説はこういう由来があったのかも、というユーモアあふれる発想で創り上げられていく。あべこべコンビというのは映画の鉄板であるが、この作品も例に漏れない。わりとストーリーの本筋自体は序盤で掴めるし、キャラがそれぞれどういう役割を果たすのかもわかりやすく明示されているので心配することもない。だけれど単調というわけでもなく、テンポよく展開が進んでいくので観やすいと思う。

かといって抜群に面白かったかといえばそうでもなく、ちょっとさすがに予定調和過ぎるのと、死んだ奥さんってのはなんかむしろ冷めるというか、定番が過ぎるなあと日本のドラマを見ているような気分にもなる。キャラクターが「憎めなくて好き」になるにはちょっと印象が薄いし、ケンカしたがるリーダーたちの動機もあまり納得がいかない。

それでも家族で安心してみたい作品だ。