実際にアメリカで起きた事件を再現した映画。新年を迎えるために電車に乗っていたらあることでトラブルに巻き込まれた黒人が、何もしていないのに警察官に捉えられ、何も所持していないのに射殺された事件があった。それをただ克明に、リアルに描き続けている。こんなことがあっていいのかと、むしろフィクションを祈ってしまうほどに辛く痛ましい事件であったことがわかる。家族も子供もいて、なにもしていないと訴えても聴く耳を持たずそのまま射殺されてしまう主人公は、この映画で世界中に真実を知ってもらって少しは報われているのだろうか。わからないがそんなことを考えてしまう。

一般市民の青年が警官に銃殺された実在の事件を、27歳の新人監督ライアン・クーグラーが映画化し、サンダンス映画祭で作品賞・観客賞をダブル受賞。「クロニクル」のマイケル・B・ジョーダンが主演し、全米賞レースで高い評価を受けたドラマ。2009年の元日、米サンフランシスコのフルートベール駅のホームで、3歳の娘を持つ22歳の黒人青年が警官に銃殺された事件が起こる。ごく普通の市民にすぎなかった青年が、なぜそのような悲惨な死を遂げたのか、青年の人生最後の1日を描く。

この映画を作ろうと思い立った監督、ライアンクーグラーは、後年にも黒人の王を始めて描いたマーベル映画「ブラックパンサー」やロッキーシリーズを黒人で描いた「クリード チャンプを継ぐ男」など、鋭い視点で従来とは異なった黒人に対する社会の反応を描いている。
この映画を多く語ることは私は是としない。まずはいちどみて、自分で深く考え、そして明日からの社会にゃニュースに対する姿勢に投影してほしい。日本人はどうしても世界の動きに鈍感になりがちなので、こうやってわかりやすく提示してくれたものはちゃんと受け取るくらいのことはしていたい。

最後に、大晦日の昼に、車内で母親からの電話の前後に流れていた音楽を紹介する。The JackaのMob Shitという曲である。

以上、ぜひ見てほしい作品である。