本当に当たり前のことなんだけど、誰にだって悩みはある。その悩みが可視化されてるものならみんな心配してくれる。例えば顔が生まれつき崩れていてなんども整形したけど未だに顔がモンスターみたいな子供がいたら、両親は心配するし当然学校でイジメられるし、わかりやすく辛い思いをする。「ワンダー 君は太陽」の映画内なら、オギーがそうだ。彼の辛い思いはことごとく突き刺される。それに対する優しい両親の悲しい表情も嬉しい表情もあふれんばかりの愛も思わず泣ける。

全世界で800万部以上を売り上げたR・J・パラシオのベストセラー小説「ワンダー」を、「ウォールフラワー」のスティーブン・チョボウスキー監督・脚本で映画化したヒューマンドラマ。ごく普通の10歳の少年オギーは、生まれつきの障がいにより、人とは違う顔をもっていた。幼い頃からずっと母イザベルと自宅学習をしてきた彼は、小学5年生になって初めて学校へ通うことに。はじめのうちは同級生たちからじろじろ眺められたり避けられたりするオギーだったが、オギーの行動によって同級生たちは少しずつ変わっていく。「ルーム」で世界中から注目を集めた子役ジェイコブ・トレンブレイがオギー役を務め、「エリン・ブロコビッチ」のジュリア・ロバーツが母イザベル役、「ミッドナイト・イン・パリ」のオーウェン・ウィルソンが父ネート役をそれぞれ演じる。

でも、オギーの姉、ヴィアも悩みを抱えている。おとうとばかりに構う両親に自分の悩みも聞いてもらえなく、なるべく手間のかからないように器用に生きようとしてるけど、学校では友達に避けられたり、唯一の味方だったおばあさんも亡くなって一人ぼっち。
この映画のとにかく嫌味たらしくなくそして号泣できるのは、子供たちが自分たちで解決していくところ。
それは、オギーにできた最初の友達、ジャックだっておなじである。また、姉の親友のミランダもしっかりと描かれている。

みんな同じように悩みを抱えている、というのは簡単だけど、中身はとても複雑だ。そしてそんな簡単に解決しない。それをこの映画は簡単に描き切ろうとしない。
ベストな選択はできていないかもしれない。でも間違ったら間違っただけ舵を切り直せばいい。子供たちはもちろん、親だって間違う。
この映画を「お涙ストーリーの詰め込みすぎだろ」という人がいるかもしれないし、ある意味でそれは正しいんだけれど、数人の人生をまとめて観たら、そりゃ悲しいことだらけだ。幸せなことの方が少ない。とくにあの顔を持って生まれたオギーはどうオブラートに包んでも過酷な人生が付きまとう。それを幸せか不幸せかを私たちに決めつける権限などないが、障壁が多いのは事実である。そんな彼らが間違っても修正していくさまはある意味でリアルである意味でとても映画的だ。
主人公のオギーを演じたジェイコブトレンブレイは「ルーム」で一躍脚光を浴びた子役だ。まだ「ルーム」は観てないが、今作を見て彼の演技力に惹かれたので今度見てみようと思う。監督も「ショートターム」の人らしいので期待できるし。
いや、久々にしっかり泣けた。

音楽はポップス多め。シーンに合わせた歌詞の曲を選んでいる。

The White Stripes – We’re Going To Be Friends

Bruce Springsteen – Santa Claus Is Comin’ To Town

butterfly boucher – break the rules

Caroline Pennell – We’re Going to Be Friends

Passion Pit – Moth’s Wings