コミックバンドは嫌いだ。これは彼らが悪いわけでもないし、コミックバンドを聴くファンをバカにするわけでもない。ただただ個人的に嫌いなだけだ。何をコミックバンドとするか、その定義はファンの主観を入れると面倒になるのであくまで客観的に「音楽の要素に面白さ、笑いを取り入れてる人達」と決めつけることにする。それは楽しんでもらうエンターテイメント性とはまた違う、客が音楽プラスで期待されている”笑い”の比重が大きいバンドを指す。MCがおもしろい、だけではなく、飛び道具がある、仕掛けが多い、ミニコントがある、客を巻き込んだ時間があるなどだ。歌ってる内容はおちゃらけてたりするけどライブはいたって真面目で熱い!っていうバンドも存在するのでその線引きは難しい。

ちなみにコミックバンドと検索すると真っ先に仙台貨物が出てくるので、これはGoogle公認ということで。化粧するバンドはいるけど明らかにふざけているからだろう。シドはok、マンウィズもok。仙台貨物はコミック。

ウタテン公認は
四星球、ヤバいTシャツ屋さん、打首獄門同好会、PAN、グループ魂の5組である。
リンク→https://utaten.com/karaoke/musicgenre/comic-band

他にも超能力戦士ドリアンなんかも、いま勢いのあるコミックバンドなのではないだろうか。

お笑いは間とタイミングが命綱であり、いくら面白いフレーズでもそれを逃すととんでもなくスベる。音楽はむしろその間やタイミングをコントロールし辛い。短いリズムネタならともかく、それを一曲4分として成立させてなお何度歌っても同じ新鮮さがないといけない。それは不可能である。なので結局ライブではそれにプラスアルファでアドリブのセリフを入れたり小道具を用意したり、もはや内容とは全く関係ないことをしはじめたりする。

全く関係ないことをする人たち

音楽に楽しみ(Funny)を求めない人間なので、これ以上コミックバンドをディスっても不毛であり完全にフィールドが違うだけなのでやっかみを入れるだけ私がみっともないだけなのでしないが、お笑いはお笑いで満足したいし政治は政治番組と新聞で満足したい。音楽は圧倒されたい。それだけだ。彼らを批判することはお門違いなのだ。

ちなみに個人的にキュウソネコカミはコミックバンドではない。歌詞こそど直球で狙ったワードも多いしアーティスト写真はどう考えても関西人の悪いところ出てる。でも映像を見る限りライブでは変なキャラを登場させたり飛び道具を使ったりしていない。あくまで音楽でアゲていく。そうなると大体音楽好きからの評価は高くなる。絶対basem●ent ●imesとかべた褒めしてる。不良だけど良いことしたらめっちゃ褒められる世の中にはすげえキレるくせにお笑いテイストなのにライブがちょっと本気だったらめっちゃ褒めるところは大体信用ならない。だれの話ではない。

よってキュウソネコカミはコミックバンドとしてみなさない。

さて岡崎体育はどうだろう。歌詞はコミックバンドのそれ。MUSIC STATIONに出演した際も2番で口パクであることを暴露し歌唱中に水を飲むパフォーマンスをした。あれはコミックそのものだ。他にも女装したりとテレビで見る限りはコミックバンドと言える。実際のライブを見もしないで判断するな!なんて言われそうだが、テレビでそんなことするやつの事をライブでは違うんだと言われても困る。ならテレビでしなければいいのだし、そもそも私は一回もコミックバンドが低俗だとか音楽じゃないとか、そんな見下した発言をしたつもりはない。あくまでジャンルわけであって、コミックバンド=音楽の質は悪い、とはならないことはここで強調しておく。
事実岡崎体育のアルバム「SAITAMA」はとても音楽がいいなと思った。音楽がいいなって、すごいざっくりしたコメントだけど、歌詞の中身がまた違えば好きになっていたと思う。
でも数ある大嫌いなコミックバンドの中で岡崎体育は嫌いになれない。岡崎体育の歌う唄は好きになれないが彼を嫌いにはなれない。見た目に同情的だとかシンパシーを感じるとかそんなつもりはない。ただほかのコミックバンドに感じる猛烈な不快感がほとんどない。それを考えてみる。

1.フリートークの時の声が落ち着いてる

番組内でのフリートークがあると驚くのが、岡崎体育のテンションの低さだ。淡々とエピソードトークをする。関西の人間ならオチ前にはとんでもなく声を張る。千原ジュニアがそうするように、おもしろい事をアピールしようとするジャニーズWESTの面々がそうするように。過剰な盛り上げなくてもちゃんとオトせる。その余裕がなんとなく好きだ。俺おもろいやろーー!みたいな圧がない。むしろもう少し抑揚つけて話せばいいのにって思ってしまうほどに。でもそれが逆に面白さを増幅させていたりする。肝っ玉座ってるなあとは思う。

2.目標が定まっていて応援できる

30までにさいたまスーパーアリーナで単独する!といったような目標がはっきりしているのは一人の大人として尊敬する。それを実行するためにあらゆる手段を尽くして頑張る。ランキング1位も狙うし、素直に悔しいと認める。ファンクラブを設立したりしてちゃんと収益になる方法を考えてる。「CD買ってねー」みたいなファンの善意に委ねるようなクソみたいなお願いはしない。CDが売れない時代ならどうやってお金を生ませるかを能動的に考える。だから支持できる。

3.変なビジネスライクな姿勢を打ち出さない

とはいえ、ミュージシャンはミュージシャンだ。たまにバンドなのにインタビューでビジネス観を語りまくったり売り方の工夫を凝らしまくったりする人たちがいる。ぼくたちはこんなにたくさんビジネスについて考えてます、みたいなセルフプロデュース的な姿勢はあんまり前面に出して欲しくない。個人的にそれは事務所やレーベルの考える事でミュージシャン自身がそんなドライな、音楽を軽視したスタンスにはなってほしくないのだ。「俺はすごい音楽を作った。あとはなんとかして売ってくれ」くらいでいてほしい。もちろん、そんなの理想論だってのは知っているが。でも岡崎体育は根っこに好きな音楽で好きな事出来てます、という純真な気持ちがある。やる事はやるし売れることをきちんと目標にしてるけどむやみにひけらかさない。至って謙虚だ。目標はでかく公言もするけどビジネス臭だけを漂わせたりはしないそのバランスはとても好きだ。



ライブを見に行きたいかと言われれば残念ながら今のところノーだが、面白さのツボを理解していいかんじに引くことを知っているから嫌いになれないしちょっと見てしまう。まだ裏方になるつもりもないみたいなので、しばらくはたまにテレビ出てはこちょこちょっと面白いエピソードトーク披露するのだろう。タモリと相性あいそうな気もするんだが、意外とオタク気質ではないのかな。