lyrical schoolというアイドルがいる。知らない人のためにいうと、元々tengal6というグループが前身で、ヒップホップアイドルとして活動しているグループ。知名度は、地上波に出たりしないのであまりないけれど、アイドル好きからすれば定番の人気アイドルである。本当に。

兼ねてから音楽提供者の評判が高いアイドルとして有名。乱暴にまとめてしまえば、ヒャダイン提供で有名なももクロとか、中田ヤスタカ提供のPerfumeとか、そういう感じ。lyrical schoolはtofubeatsが多く手掛けている。時にはKICK THE CAN CREWのLITTLEが作詞することもある。作っている人で判断するわけではないが、少なくとも”売れっ子”が作っている音楽を歌うグループである。

そんなlyrical school(めんどくさくなってきたので以下リリスク)は2012年に現行の名前に変更し、多くの曲を歌ってきた。それなりに人気も高まり、順調に知名度を上げてきていた。しかし去年、初期メンバーだったami、ayaka、meiの3人が脱退、直前にはyumiも体調不良で脱退と、立て続けにメンバーがいなくなった。残ったのはリリスク改名後に加入したminanと、15年にライムベリー(こちらもヒップホップアイドル)から移籍してきたhimeの二人。tengal6からのメンバーは一人残らずいなくなってしまった。その後、hinako、yuu、risanoの3人の加入が発表され、5人体制になった。
分かりにくいと思うので、MVで比較してみる。


tengal6から引き続いているメンバー


minan追加後のリリスク。単刀直入に言ってちょっと顔面偏差値あがった。


hime加入後。


オリジナルメンバー消滅後の新生リリスク。スチャダラ提供曲。

誤解を恐れずに言うと、それなりに華はついてきた。本人たちも磨かれてきたけど、なによりメンバー交代でどんどんアイドルっぽくなってきた。オリジナルメンバー期よりも、今の方がメジャーアイドルっぽいし、可愛さを存分にアピールしているところもアイドルっぽい。決してだからって初期メンバーをディスってやろうとか、ブスだとかそんなことを言いたいんじゃなくて、まあだれがどうみても上のMVを見比べてみたらそんな感想になると思う。

でもなにか腑に落ちない。どこか納得ができない。もう新生リリスクが誕生して1年以上たつのに、全然メンバーに馴染めない。別に昔はファンだった、というわけでもなくて、新曲が出たらチェックしてCDレンタルして~ぐらいのライトな人間だったのであまり偉そうなことは言えないかもしれないが。とりあえずメンバーの名前も顔も一致しないし、新曲も聴かなくなった。MVも見返すことが無くなった。なぜだろう。これは。すごく熱が冷めてしまった。

リリスクは一度だけ、2015年に東京アイドルフェスティバルで見たことがある。ステージももちろんよかったんだけど、その後、会場を歩いていると当時の大部さん(ayaka)に会って、「さっきのステージ観ましたーよかったですー」っていうとめちゃめちゃ愛想よくしゃべってくれて、それ以来「大部=ただのいいひと」という方程式が容易く形成されている。バカな奴だなあとお思いかもしれないが、むしろこんなちょっとしたことであっさり好感持ってくれてファンになってくれてしかも信頼まで得られるって、大部さんは知っているから適当にあしらわずちゃんと受け答えしてくれた(しかも「いやー♡うれしいですぅー♡」みたいなブリらず、フランクな感じだったのがなおよかった)というプロ意識に心打たれたのだ。大事だよなあ、って常々思う。客商売って。
私は割と、ちゃんとしたサービスやプロモーションをしたところには時間を割いてあげる、というのを信念に消費者として過ごしている。例えばインスタでよく流れてくるゲームの広告動画も、おもしろそうに作られていたら一回インストールしてみるし、youtubeの広告でウザくなくてしかも興味惹きつけるギミックのあるものはリンク先まで踏んでみる。さすがに買いはしないけど、リンクを踏む、インストールしてみる、くらいならタダなので、ちゃんとその企業が考えて作っているものにはリアクションを残してあげたくなる。あ、あと、調べ物で参考になったサイトとかいつも楽しく読ませてもらってるブログとかも、読んだらクリックはなるべくするようにしている。好きなアーティストにはちゃんとCD買ってあげたくなるのと同じだ。
話はそれたが、リリスクはまさに「ちゃんとしたクオリティのものを提供してなお大部さんがすごくいい人」という私の返報性を促していたので、3000円のCDを買ったり単独に行ったりチェキを取ったりまではしなかったけど、微力ながら協力していたつもりだった。

ただ、去年からメンバーが変わり、もちろん大部さんもいなくなり、すっかりだれかもわからない子たちがリリスクとして突然歌いだした。そして私は気付いた。そして自分自身にショックを受けた。と同時に、やっぱり人間なんだと気づかされた。

どういうことか。

私はいわゆる”楽曲派”で、アイドルの音楽が好きなタイプ。まあアイドルオタクたちからの嫌われ者である。だからアイドルソングには結構傾倒したけどメンバーの個人名なんて覚えようと思ったことはない(自然と覚えているのはある)し、チェキが撮りたいとか、握手したいとか、オタ芸踊りたいとかはない。だってはずかs…なんでもないです。いや、本当に思わない。思うのはLinQの新木さくらのみです。

だからメンバーが変わるとか、そんなことでファンをやめたりする人の気持ちは理解できるけど共感できなかった。むしろグレードアップした子が入るならいいじゃん、曲がそのまま良ければいいじゃん、と思っていた。
リリスクはまさにそうだった。グレードアップした。悪い言い方で申し訳ないが。美醜の話ではなく、自分を可愛く売る方法を新メンバーは知っている。証拠がツイッターアカウントだ。

どうだ。完全に男を誘惑している顔だ。男を知っている顔だ。もう一度tengal6のメンバーを見てほしい。この差だ。オタク歓喜じゃないか。こういうぶりっ子大好きだろ君たちは!!(偏見)

でもこれが私を余計に悩ませる。こんな感じの子をリリスクのメンバーとしてみるのには違和感がぬぐえないのだ。ダメではない。というか別にファンでもなければお金を落としているわけでもない、そして究極的に独りよがりな意見なので受け入れてもらう必要もない。個人の感想だ。私にとってのリリスクのイメージはあのフランクな大部さんがいた。メンバーが変わったんだからいつまでも古参ぶって今のメンバーに迷惑かけるなよ、というのが普段の私のスタンスなのに、自分がそういわれる側になっている。正直自分にがっかりした。ノベルよ、お前も結局誰が歌うかなんじゃないか、なにが楽曲派だ。ちょっとしゃべってもらって舞い上がってんじゃねえよキモオタ。と情けなくなる。

でも一歩引いて考えてみる。これって当たり前じゃないか。なんにも悪いことではない。この世の中なんて、何を提供するかじゃなくて、誰が提供するかじゃないか。この”だれが”は美醜だけではなく人間性も入る。たとえ美人が入ろうとそうじゃなくて今までの信頼のつみかさねで人は応援するんだ。地下アイドルにかわいくないのにファンが多い子がいるのはそういうことだ。ノベル、お前はごくごく自然な感情反応を示しているだけだ。なにもおかしくなんかない。と擁護してみる。

そんな人がいるのかいないのかわからないが、彼女たちに限らず、こういう事案ってよくあるんだろうなあと、初めて自分に降りかかったことで発見した感情だった。

まだアルバム聴けてないのでまずそこから始めたい。