サマソニの撮影問題

毎年多くの海外アーティストを招聘しておこなわれている、SUMMER SONIC、略してサマソニ。今年で20回目を迎え、海外からはRed Hot Chili Peppers、The Chainsmokersを、日本からはB’zを呼び大きな話題となった。そして無事(一部トラブルもあったが)、全ての日程を終えた。

しかしどうしても私には気になることがあった。それが撮影問題だ。

基本的に日本では撮影を禁止にしているフェスがほとんどだ。海外はそういったものにおおらかだが、まだまだ日本はその規制解除には踏み切れていない。そこに関しての是非は今回の本筋とはズレるので割愛する。

まずサマソニの公式見解を確認しておく。

会場内では、カメラ付携帯電話やコンパクトデジタルカメラ(プロ仕様撮影機器は持込禁止)などによる、お客様ご自身の撮影のみ可能となります。 ただし、これらの撮影機器や録音機器による出演アーティストの撮影及び録音は、一切禁止致します。このような行為が発覚した場合は機器を没収した上、退場していただきます。また、その行為によっては身柄を警察に引き渡すこともございますので、予めご了承ください。

これはサマソニが一貫して呼び掛けていることだ。この文言が消えることはない。少なくともしばらくはないだろう。
しかし、これで終わればよかったのだが、ある疑惑が生じる。その問題動画がアップされているので違法ではあるが証拠として使わせてもらう。

これは、7月1日にMBS毎日放送でO.A.されたサマソニ特番「北区梅田音楽学校 ~サマソニ夏期講習~」での一場面である。

BiSHは写真撮影はOKです

RG:今回のサマソニもね、もちろん、オッケーですよね?
チッチ:はい、もちろん、写真オッケー。携帯ならサマソニは大丈夫。
小藪:(カメラのポーズをして)あ、これはあかんのか。
チッチ:はい、ちょっとカメラはアレなんですけど、(スマホのポーズで)スマホだったら。

そして最後にテロップで
サマソニでは携帯電話・スマートフォンでの撮影OK

とかかれていた。

私はこの番組を見て、「あ、サマソニは今年から撮影が本格的にOKになったんだ」と思っていた。そんな勘違いをしてしまうほどに、番組内で堂々と宣言していた。これはBiSHが勝手に言ったのではない。サマソニが言わせたことだ。

ここで不透明な部分が3つある。

  • 「サマソニでは」という文言はBiSHに限った話なのかすべてのアーティストに適用されることなのか
  • 撮影とは動画を含むのか
  • なぜこれをO.A.したのか


  • まず一つ目は、文脈をたどればおそらくBiSHに限った話だろうが、あのテロップはあまりにふわっとしすぎていて、その時あまり真剣に観ていなかった自分はあのテロップとチッチの「サマソニでは撮影OKです」という言葉に惑わされた。本来ならばきちんと「BiSHはオッケーです」などと、枕詞にBiSHをつけるべきだっただろう。
    2つ目に、撮影に動画は含むのかについてだが、これもおそらく写真撮影に限ったことなのだと思う。後で知ったが、BiSHは普段のライブから写真撮影はOKで動画はNGらしい。それも踏まえると、やはり写真撮影に限ったことなのだろう。
    3つ目が大問題だ。これは何の気なしに言った言葉ではない。ちゃんと進行通りに、カンペ通りに進めた結果の発言であり、サマソニが自身で用意した番組でアーティストに公言させているのだ。これはむしろ”宣伝”とも捉えられるもので、決して暗喩だったり例外的な発言ではないことは明らかだ。何度も言うが、確信犯的な発言で、宣伝文句である。

    実際見た光景

    当日、フェスにいくと、各ステージのすべての入り口には「ステージの撮影禁止」という立て看板が用意されていた。ここですでに少し不信感を抱いていたのだが、あくまで好意的な解釈をして「BiSHの時だけ特例でオッケーなのだろう」と何も言わずにいた。

    しかし、残念な光景があった。
    BiSHのライブ中、ステージを撮影する客をスタッフが止めているのを目撃した。このもやもやした気持ちは解消したいと思い、迷惑なのは承知で思い切ってスタッフにきいてみた。

    以下が自分のツイートである。多少感情的な部分もあり誤字もあるが許していただきたい。

    大体は理解してくれただろう。改めて説明する。
    スタッフに「今写真撮影止めましたか?」と尋ねると、「はい、サマソニでは全面禁止なので」と言いました。「実は、サマソニさんが、撮影オッケーって言ってるんですけど、これ正しくはどっちなんですか?」と言った趣旨を話すと、別のスタッフを呼んでくれました。

    現場責任?の方によると「撮影は基本禁止ではあるが、黙認状態です」と言われました。「アーティストによっては出番前に『撮影は全部止めてください』との通達があったりするので、その場合は積極的にやめるように声をかけている、対応はさまざまです。」との回答。

    そして、件の特番の話をし、これは誰の意思でしょうか?と確認。
    「いやこの動画は初めて見ましたし、このような説明は一切知らない」と仰ってました。
    あと、黙認って言葉は少し違うと思います。サマソニさんが自分たちで推奨したことなのに撮影した側が悪いことしているのを見逃してやってるというスタンスは気にくわないです。とも伝えました。

    基本的には話はこれで終わりです。あとは自分は決して写真を撮らせろと言ってるわけじゃなくて、なんとなく気になってしまって尋ねただけなんです。と言った。向こうも、「仰る気持ちはすごくよくわかります。そして伝わりました。ありがとうございます」と言ってもらいました。

    自分のケツくらい自分でふけ

    ここまで読んで、めんどくせえなお前、ってきっとみなさん思ったと思う。そしてまだ誤解してる人もいるだろうからもう一度気持ちを書くから、これを読んでから悪口を言うなら言ってほしい。

    私は撮影を許可しろとは一言も言っていない。許可すべきだとかその議論をするつもりもない。禁止というなら禁止で構わない。そしてBiSHのルールとか知ったこっちゃない。そんなのフェスに持ち込まれても困るだけだし。

    ただ、サマソニ自身が自分の特番でわざわざ「撮影オッケー」と言っておいて、実際は現場のアルバイトのスタッフにすらその意思が伝わってないという事は、いかに運営側が軽く発言していたかが露呈されている事が問題だと思っている。

    それによって撮影してたら止められた人もかわいそうだし、撮影しちゃダメなんだとちゃんと立て看板とHPの文言を信じて守った人もばからしいし、撮影してる人にイライラしている他のお客さんもとてもかわいそうだ。なによりその軽率な発言とルーズなモラルづくりが、本当にサマソニ大阪”らしい”、とても残念な結果だったことにショックを隠せない。

    自分で言ったことくらいちゃんと遂行しろよ。そんなの社会人ならだれだってやってるぞ。そう言いたい。職場に偉そうな事ばっか言って実際全然できてない人がいたら腹が立つでしょう?しかも周りに迷惑かけてたら、それが上司や企業のトップだったら。。。そんな会社に勤めたいとは思わないはずだ。

    何度も言うが、現場スタッフを責めるつもりは一切ない。ちゃんと仕事をしていた。あんな暑いのに。ほんと暑かった。倒れるかと思った。それでもちゃんとスマホで撮影してる人がいないかくまなく探していた。

    話を聞いてくれた人も、汗だくでおそらくクソほど忙しい時に自分みたいなわけのわからない難癖つけてくるバカを相手しなきゃいけないってだけで気が滅入りそうなのに最後まで丁寧に聴いてくれた。そして、自分が決して怒っているわけでもなくクレームをいっているわけでもない、という誠意はちゃんと受け止めてくれたことに感謝している。あれで「はいはいうっせーなおまえ写真撮りたけりゃ撮れよ」って感じであしらわれていたらその場で帰っていたかもしれない。

    そして「サマソニ 撮影」や「BiSH 撮影」で検索すると、たくさんの人がこの事実を知らずに撮影者に怒っていた。時にはケンカになったと報告する人もいた。まあそんな正義感をフェスで振り回すのもなかなか自分が言えた柄ではないが「めんどくさいやつだな」って思わなくもないけど、いやまあ正しいことはしているので何も言えない。

    今回を除いて。

    おそらく撮影者がその特番で知ってあえて撮影しているとは思えないが、結果的にサマソニが許可した撮影なのだから怒られる方がそんな筋合いないしキレ返しても良い案件なのだ。

    まとめ

    なのでまずはサマソニ大阪に参加されたBiSHファンのみなさん。撮影はオッケーです。これはゆるぎない事実です。事実じゃないというのならクリエイティブマンの公式コメントを用意してください。

    次にサマソニ大阪運営企画のキョードー関西、MBS毎日放送、このフェスの親元であるクリエイティブマン、これは早急に改善してください。二度とこのような軽率な行動はとってほしくないです。なぜならサマソニが好きだから。なぜならまた再来年も行くから。なぜなら洋楽フェスを開催してくれてることに感謝しているから。
    だからそうやってテキトーな事をいって混乱を招くようなことはしないでほしいし、まあこれくらいなら別に実害はそんなにない(というかこれでワーワー騒いでるの自分だけだし)けど、信頼ってそういう小さな一つ一つのほころびから崩れていくんです。仕事ってそういうものでしょ。イベントとか企画したことないけど、一番大切なのは信頼関係なのでは?

    最後に我々客。もっと快適なフェスにしましょう。撮影はいまゆるくなってます。黙認もしてくれてます。個人的には撮影しちゃうときもあっていいんじゃないかなって思ったりもします。

    でも、しちゃだめって言われている事、そしてそれを黙認してくれている事をちゃんと理解しないとだめだ。つまり、スタッフに止められたら「ごめんなさい」と謝ってすぐにやめるべきだ。撮影者はその点をわきまえる必要がある。

    後、ゴミ。きたない。ソニックステージのトイレは使えたもんじゃないってくらいにゴミの山。オーシャンステージのゴミ箱は溢れているのになおそこに無理やり詰め込み結局余計にあふれて周りが散らかってもそのまま放置。タバコの吸い殻を一生懸命拾うスタッフはなんて無駄なことをさせられているのだろうと虚しくなる。

    渡るなと言っても渡る道路横断。「小学生でもできますよ!!!」と若い女性スタッフが拡声器で怒っていたのもむなしかった。

    サマソニ大阪のシャトルバスには怒り、会場の設営の遅れによって出演キャンセルがあるとツイッターで公式にリプライでブちぎれ、私たちは一体何様なんだと痛感する。そりゃ満足いかない対応もたくさんあるのはわかるが、

    フェスってそういうものだっけ。

    規模が大きいとどうしてもその目指すべき方向性がバラバラになったり求心力ってのは落ちがちだ。いろんな人が参加しているのもそんなのわかりきっている。

    だけれどそれじゃあそんな態度でいいのかって思う。

    今年はフジロックでもかなり環境問題とかモラル問題が話題になって、フェスもいま過渡期なのかなって思う。試されているのは運営じゃなくて我々なんだと。

    スマホの撮影問題からずれたけど、私はまずサマソニ自身がきちんとルール作りをすること、それを自分たちで順守する事と、我々客が襟を正すことが最重要項目なのではないかと思っている。

    The 1975の感動レポを書く前にこんな記事を書くのは本当に気が引けるし、何度も書いては消してを繰り返し投稿するか迷ったが、音楽が大好きでサマソニが好きだからこそあえて書くことにした。

    ライブレポ、感想はまた書きます。