ここでは最も優れた歌詞に贈る。
優秀賞
横たわる君の頬には あどけないピンクとさらには
白い 深い やばい 神秘の香り
(あいみょん – 満月の夜なら)
ほつれたマフラーの隅っこをくわえて
野球のこととか考える
(羊文学 – マフラー)
勝つか負けるとかじゃないとか 勝ちよりも価値のあるマッチだとか
言いたいこたぁわからねぇでもねーがオイ
勝たなきゃ始まらにゃーなこともあるワケであるのだからさ
(RADWIMPS – カタルシスト)
綺麗なだけの蝶々を追って 迷い込んだ人間の森
(森山直太朗 – 人間の森)
君に会わなくたってどっかで息しているなら
それでいいななんて思って煙を吐いている
(yonige – リボルバー)
嫌われないように毎日 不安にならないようにしている
(カネコアヤノ – 祝日)
ONIGIRI ONIGIRI you better wrap that ball ONIGIRI
(青山テルマ – ONIGIRI)
轟々雷音
(MONO NO AWARE – 轟々雷音)
大賞
平成、疲れた それはとても
どこにも行けずに止まれずに
夕焼けよ通りを覆え 赤くあれ
(折坂悠太– 平成)
平成史を振り返る!みたいな企画がテレビから溢れてきて、平成ってなんだろう、とか考えたりする。やっぱりそこまでうまくつかめる自信がなくて、ただ闇雲に消費されていく平成の二文字を毎日やり過ごしていた。でも折坂悠太の「平成」は言わんとしたことをなんとなくパコっと当てはめてくれた、気がする。華やかさが取りざたされる一方で、どうにも暗くて暗澹たる時代だったことをしっかり刻んでくれたような。止まれずに、というのはなんかすごくグッと来た。だからこそその対比に、赤くあれ!と強い願望を持ち出したのかなとも。
総評
年々歌詞をあまり聴かなくなってきて、音楽の楽しみ方が減ってきたなあと自戒の念も込めてこの記事を書いているのだが、今回の選出基準は、耳に残ったフレーズものを多く選んでいる。歌詞に深く共感した、だけではなくキャッチーで忘れられない歌詞も優れた歌詞の一つなのではないかと思いこの選出に。RADWIMPSの「カタルシスト」は、よくありがちな甘いセリフを一刀両断するのがあいかわらずひねくれていて好きだ。注釈として必要なのはMONO NO AWAREの「轟々雷音」だが、これは漢字を全て音読みして歌われいる曲で、アイデア賞の意味も含めて曲全体の歌詞を優秀賞とした。文学性の高い歌詞もひねくれた歌詞もストレートな歌詞もそれぞれに良さがあり、それぞれにあったシチュエーションがあるので、うまく曲に合わせた歌詞を書く人が好きだ。
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