音楽素人だから

音楽の楽しみ方は人それぞれで、音楽の何に興奮するかも人それぞれだ。
でも、こうやって音楽が好きすぎてブログ始めたりする人間って大抵音楽を好きすぎる。褒め言葉。好きすぎてキモイ。知識豊富過ぎてひく。たいていの人は楽器経験者だったりするから、すごく楽曲の細かいところまで話してる。むずかしいカタカナとかも使ったりして。
凄い。自分にはできないなって常に思う。

楽器もまともにできないし、歌も上手くない。だから音楽を聴いても技術的な凄さとかさっぱりわからない。ギターは速かったらとりあえずすごいとか思ってる。ギターが泣いてるとか言われてもさっぱりわからない。だから私の音楽の興奮するツボは”いかに楽曲が高難度か”とか”いかに楽曲のクオリティが高いか”とかではない。多分。

好きな曲はいつだってフィーリングだし、歌詞でものめり込むこともあるが、基本はメロがいいとか歌いやすいとか、かっこいいトラックだとか、そんなあいまいな基準で選別している。だからマニアックなジャンルよりJPOPとか海外のメロの立ったポップスが好きだったりするんだと思う。

自分の評価基準

自分が音楽について興奮するときは音楽として楽しめるかもそうだし、自分がゾクゾクするようなカッコいい音が鳴っているか、といった、かなり主観的な基準でしか判断しない。多くの人がそうするように。だから好きな曲について長々と書くのは苦手。だって好きなんだもん!!くらいしか言いようがない。とはいえそれでは成立しないのでなんとか必死に頭捻って書いているのが現状。

なのだが、もう一つ自分に基準が存在する。これはもう少し客観的で、言葉にしやすい基準だ。それは、「トレンド性」と「社会的な意義」の二つである。

「トレンド性」はまさに時代感をどれくらい掴んでいるか。今でいうと、この記事を書いてるのは2019年なので2019年の最先端の音楽を鳴らしているアーティストは好きになりやすい。特に日本においては。もちろん、すべての音楽が今の時代の音楽にアップデートしなければならないなんて思ってもないし、昔からスタイルを変えずにやってきた人たちの鳴らす音楽のカッコ良さも理解している。

例えばスピッツに急にギター置いてビート刻んだトラックの上でラップしてほしいなんて当然思うはずもないし、スピッツらしいスピッツにしかできないロックを、たとえ時代が逆風だとしてもやっていてほしい(もちろんその中での進化やチャレンジがあることも併記しておく)。

ただ、これから音楽始めます、売れたいです、というアーティストが全然今っぽくない音楽を鳴らしてたらやはり”ダサい”と思わざるを得ない。



「なんだお前は時代に左右されてるだけじゃねえか。流行ってる音楽が正義って音楽観だせえな」と思う人もいるだろう。一理ある。
でも私の中では音楽とは「時代によって移り変わるもの」と思っている。ファッションと同じで、その時代時代にカッコいいものとカッコよくないものがある。それは事実だ。

「いや俺(私)はそんな流行に流されるようなダサいやつになりたくない」と硬い決意を持ってあえて今パンクをやるとかマイナーなジャンルの音楽をやるのはかっこいいと思う。でも、そんな強い意志もなくとりあえず好きなことやりながら売れたいなーと思ってるバンドがゴリゴリの2000年代中頃のロックをやってたら目も当てられない。流行に乗るのはちょっと恥ずかしい事と思われがちだが、ナチュラルに流行に乗れてない音楽のほうが、より恥ずかしい事だと私は思う。



もう一つの基準は「社会的な意義」である。
先に述べたトレンド性にも関連するが、今ここでその音楽を鳴らす意味がはっきりしている音楽は好きだ。世界の最先端の音楽をいかにポップスに馴染ませるか努力している人もそうだし、もちろん決してそれだけじゃない。
トレンド性は高くなくても、お茶の間に届けようという工夫や信念が見える音楽は好き。JPOPが好きな理由はそれだ。
他にも、社会的なメッセージが強い曲とか、売れながら実験的な要素を取り入れる人とか、そういった音楽に惹かれやすい。だから比較的ジャンルで音楽を聴かない人間だと思う。

このあたりはちょっと曖昧な基準で一言で表すのは難しいのだが、「どれだけ今の音楽を鳴らしているか」「ミュージシャンとしての信念が感じられるか」「シーンをゆるがすような挑戦をしているか」という3つの評価基準は確かに存在している。
となるとやっぱりロックはいまちょっと厳しい時代にあるし、どうしても辛口にならざるを得ない。

基本的に今のシステムを壊そうとか、あたらしいことしようとする人は全面的に支持するので(世間では胡散臭いと呼ばれる人たちでも)、音楽に関しても同じことが言えるだろう。

2019年、自分たちの殻を破り、シーンのしがらみをやぶり、今世界で起きていることを日本でも同時多発的に起こしてやろうと考えている人たちはどれくらいいるのだろう。そんな人が一人でも増えてくれると嬉しいし、私もまた興奮する。