神学者、ジョンハルが失明する直前とその後のことを克明に録音した実テープの音をそのまま使用し、アテレコした作品。なので、全員役者だしフィクションの映像ではあるんだけど、声は全て本物で、要するに声データから映画を一本創っちゃいました、みたいな不思議な作品。

とにかく学者らしい繊細な司会に関する情報と、その後の不安や受け入れられない気持ちと一方で向き合う姿勢。雨の音を美しいと捉え、子供のクリスマスプレゼントの色すらわからないことに絶望する。

失明するまでの過程や人間関係といったドラマ性は皆無で(録音データを基にしているので当たり前だが)、ひたすら内面にフォーカスし、向き合っている。
決して何かが解決したり、他の誰かの心情をピックアップすることない(もちろん妻や子供、両親などは登場する)作品を、映画、あるいはドラマと捉えるのは難しいが、ある意味でもっとも人間らしく、リアリティのある心情描写が続く。美化できることもできないことも、全部言葉に残しているジョンハルのテープは貴重である。

何が貴重化というと、失明自体ではなく、それをここまで深く、哲学的に、耽美に言葉として記録媒体に残したことが貴重なのだ。仮に私が失明しても同じように語ることはもちろんできないし、仮に同じ感情を抱いたとしてもあの卓越した言語表現は神学者ならではだ。

ぜひ観終わったら、filmarksでもなんでもいいから、いろんな人の間奏に触れてみると良い。普通の映画と違い色々な解釈と感想を持つことのできる作品なので、きっと色んな気づきがあると思う。

ちなみに、あまり関係ない話だが、この映画からGoogleの拡張機能であるLanguage Learning with Netflixを追加した。

これを追加することで、Netflixの作品に英語字幕が付き、さらに日本語も下についてすぐ確認できるため英語勉強にピッタリなのだ。字幕が変わるごとに一時停止が出来たり、気になった英文を保持したりできるみたいで、すごく使い勝手が良い。
英語勉強もしたいなと思ってる人はぜひリンク先からインストールしてみてください。大丈夫、タダなんで。回し者でもなんでもないです(笑)