マイナーサイコホラー、嫌いじゃない。別に真剣に見るつもりもないけれど(痛々しいのは苦手だし)、ひとつのエンタメとして退屈はしのげる。あくまでその立ち位置だが。

ストーカー男に拉致され檻の中に監禁されてしまった女性の運命を予測不可能な展開で描き、2016年のシッチェス・カタロニア国際映画祭で脚本賞を受賞したサスペンススリラー。動物保護センターで働く青年セスは、バスで元同級生のホリーを見かけて声を掛けるが邪険にされ、SNSで彼女のことを調べ上げて執拗に取り入ろうとする。それでも相手にしてもらえず思い詰めたセスは、彼女を拉致して自分の働く動物保護センターの檻の中に監禁するが……。監禁男セス役に「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのドミニク・モナハン。「アパートメント:143」で注目を集めたスペインの新鋭カルロス・トレンスが監督を務め、「ファンタスティック・フォー」のジェレミー・スレイターが脚本を手掛けた。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2017」上映作品。

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監禁モノは刺激的だ。時に性的興奮を呼び覚まさせ、動悸を激しくさせる。こういうもので、女性が男性を監禁する作品は少ない。私は見たことがない。まるでリアリティがないからだろうか。パワーバランスも、性的な衝動による行動としても、女性が男性を監禁するのはあまり現実的ではない。

ただ、若干ネタバレになるのだが、後半のどんでん返しともいうべき怒涛の展開は、目新しい。それが抜群に個人的にハマったかというとそうでもないのだが、チラ見していたスマホを手放してしまうほど予想していなかった。メンタル部分にも大きく切り込んだ、二重人格的な要素も入ってくるので、その点については注目。

私が一番気に入ったのはなんといっても女性を監禁するセス。よくこんなにキモく演じたな、これがお前の素かよ、と思ってしまうくらいにナチュラル。キャラとしてキモイというよりナチュラルにキモイ。キモければキモいほどいいのが、こういった作品の特徴なので、そういう意味ではいい映画だったのかもしれない。