日本国民全員細田守からお金貰ってるのかというくらい、「夏と言えばサマーウォーズでしょ」と私に力説してくる。

なぜみたことがないのか、見る気がないのか、見る度胸がないのか、そんな気すら感じさせてしまうほどにサマーウォーズを勧められる。

時をかける少女」の細田守監督が、同作に続いて脚本・奥寺佐渡子、キャラクターデザイン・貞本義行とともに描くオリジナル長編アニメーション。数学が得意だが気弱な高校2年生の健二は、憧れの先輩・夏希に頼まれ、夏休みの間、彼女の実家で夏希のフィアンセとして過ごすことに。そんな時、健二はネット上の仮想空間OZで起きた事件に巻き込まれ、その影響が現実世界にも波及。夏希の一家ともども、世界の危機に立ち向かう。2009年の劇場公開から10周年を記念したプロジェクトの一環として、20年1月に体感型上映システム「4DX」に対応した4DX版が公開。

映画.comより

結論として、思っていた以上に面白かったし盛り上がり所がはっきりしていたし変な早送りがなかったけれどテンポは良かった。

無理な設定も笑えて、でもちゃんと筋が通っている。いろんなストーリーがメッセージとして繋がっているのもこの作品の深みをもたらしている点だ。

結局”格闘”というビジュアル先行の決着方法はアニメーションならではだとは思う。

思えばこの作品、2009年公開で、夏希の生まれ年も1992年と、ほぼ私と同世代なので、いかにこの作品がタイムリーで同世代的なものだったか、今更知る。公開当時に見ていたらまた違った感想を抱いたのかもしれない。

ガラケー、3G、仮想空間やアバターの認知度など、11年前の作品ならではの空気感もあり、それと同時にこの10年のテクノロジーの進化の速さにもおどろく。

レビューをみているとちらほら見かけるのが、かっぞくの価値観が古いとか女性や男性の感性が古いと酷評されているもの。たしかに女性が台所に立ち男性はマチズモ全開で私も賛同しかねる人間ばかりでこんな呪いみたいな関係の家族だったら抜け出して都会に住むだろうなあと思う。

ただその是非はさておき、細田守が田舎の由緒正しき大家族を描くと決めたのなら、そりゃまあリベラルなはずがない。あのような価値観の人間が集まってしかるべきだし、そう描くのはいたって自然だと思う。あの設定で話を進めるときめたならば、保守的な家族を描くのはもっともである。

と考えると、まあ別にとりたてて言うべきことでもないし、リベラルな価値観の家族を描く作品があるなら、保守的な作品があっても良いと思う。もちろん、そればかりだと居心地は悪いが。それにこれは2009年の作品なので、今とは若干世間の空気も異なる。

ちなみに延長15回を投げ切った後に再び延長15回まで投げる高校球児は今なら大問題にもなりそうだけど、当時はそれをよしとする雰囲気は割と強かった。

結果、観て良かったと思う。新作を見るつもりはないけれども。

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