あいかわらず日本の男性(あえて主語を大きくした、というよりこの主語が適切かもしれない)は女性を黙らせようとする。あらゆる方法で。嫌なら~するな、自己責任、こっちだって迷惑している。などなど。どれも頭が悪すぎて吐き気がする。そしてこの映画は日本では到底作られない、というかこの事件自体がそもそも起きにくい。

2016年にアメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動をシャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの豪華共演で映画化。アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースの元・人気キャスターのグレッチェン・カールソンが、CEOのロジャー・エイルズを提訴した。人気キャスターによるテレビ界の帝王へのスキャンダラスなニュースに、全世界のメディア界に激震が走った。FOXニュースの看板番組を担当するキャスターのメーガン・ケリーは、自身がその地位に上り詰めるまでの過去を思い返し、平静ではいられなくなっていた。そんな中、メインキャスターの座のチャンスを虎視眈々と狙う若手のケイラに、ロジャーと直接対面するチャンスがめぐってくるが……。ケリー役をセロン、カールソン役をキッドマン、ケイラ役をロビーが、ロジャー・エイルズ役をジョン・リスゴーが演じる。監督は「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」のジェイ・ローチ、脚本は「マネー・ショート 華麗なる大逆転」でアカデミー賞を受賞したチャールズ・ランドルフ。シャーリーズ・セロンの特殊メイクを、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」でアカデミー賞を受賞したカズ・ヒロ(辻一弘)が担当し、今作でもアカデミー賞のメイクアップ&スタイリング賞を受賞した。

映画.comより

この特殊メイクは本当にすごい。カズヒロさんがアカデミー賞で受賞していることも知っていたが、これほどまでにすごいのかと改めて驚いた。私の知っているシャーリーズ・セロンとニコール・キッドマンはいない。

戦う女性をここまで肯定的に、素晴らしい演出で映しあげているところがすごい。すごいというか恐ろしい。そしてどこまでもここに登場する男性は横暴だ。それをまだ地で行く日本はまだまだ時間がかかるかもしれない。もちろんアメリカもこれで膿を出し切ったっとは言えないだろう。

マーゴッドロビーはいつも強い女性のイメージがあったので、この役柄はあまりイメージになく新鮮だった。

ちなみに余談だが、私の大好きなドラマ「ユニークライフ(原題:A TYPICAL)」のケイシー役を務めたブリジット・ランディ=ペインが出演していてうれしかった。また全然雰囲気の違う役だが、あの特徴的な声は一度聞けばすぐに彼女だとわかった。とても魅力的な俳優なので注目している。

なによりこれが実話だということ。こまかなセリフやシチュエーション等、そしてマーゴッドロビーが演じた女性はフィクションらしいが、主演二人の心労、そして覚悟とバッシングは想像を絶するものだったに違いない。でもだれかがまず矢面に立たなきゃ始まらない。まだ始まったばかりの女性の人権問題、少しずつでも改善されていくことを願い、この映画を見る。