日本の闇を世界が描く。それはとても意義のあることの一方で、それで良いのか、と思う部分もある。

とても上質で、鋭く、深い映画だった。ただ、だからこそこれを大衆作品として描くのが日本であってほしかったなと思うのだ。

ジョニーデップの七変化は今日も健在で、不慣れな日本に少しずつ馴染む様子は髭と帽子で覆われたわずかな顔からもはっきりと伺うことができる。

一つずっと気になるのは、舞台は日本なのに、日本じゃないかのような景色だったこと。ロケ地がどこだったかは知らないが、彼が2階のベランダから見渡す景色は到底日本ではなく、アメリカの五大湖を眺めてるような演出になっていた。色合いか、角度か、あるいはもっと根本的なものか。いずれにせよ、日本が舞台だったけれど日本の風景のようには見えなかった。多分日本の昭和を子供のころから映像で何度も見ているから、その時代への解像度が少し違うんだろうなとも思う。

しかし最後の最後までグッとくる話だけれど、簡単に消費もできない、悲惨な時代の映画でした。

では音楽です。

テン・イヤーズ・アフター – I’d Love to Change the World

ボブ・ディラン – Forever Young

もちろん上記に曲が素晴らしいのは当然なんだけれど、せっかくだったら日本の当時の楽曲もどこかで挟むか、町から流れてくるなど映画に盛り込むといった洒落があったらすごくうれしいのになあと感じた。