ミュージカルは苦手だ。渋滞中の高速道路の上で突然踊り出すファンタジーについていくことができないからだが、こういうことを言うと何故かセンスのない感情の乏しい非人間的な扱いを受ける。女はそれほどにミュージカルに対し妄信的だ。あいつらは踊ってりゃなんだって喜ぶ。
エマストーンが好きすぎて苦手なミュージカルにも挑戦したララランドは15分で撃沈したし、大学生の頃にサークルの後輩と見たレミゼラブルも途中で爆睡した。ディズニーのミュージカルムービーも縁遠いし、まともに見たのは学祭で演じるために何度も見たオズと魔法使いだろう。ちなみにオズ役だった。

それに比べると今回のグレイテストショーマンはだいぶ見やすかった。しょうもないラブロマンスに終始せず、家族愛や偏見や差別に対して果敢に立ち向かうヒューマンドラマだったのが良かったのかもしれない。そしてなによりそもそも主人公たちがサーカス団だったことが、突然踊り出すことへの合理性を生み、入り込みやすかった。あとヒュージャックマンがええ声でカッコいい。
ミュージカル特有のいつまでもグダグダと心情を吐露するシーンがあまりなかったのも良かった。リズム感が出て展開も早く、人物関係もわかりやすかった。事実に基づいていることも楽しさを倍増させた。
と、褒めっぱなしではあるがやはり苦手であることには変わりない。音楽もよかったが途中ちょっとだけ寝てしまったのも事実。音楽はララランドの音楽も担当したジャスティン・ハーウィッツ。ララランドの音楽がわからないのでなんとも言えないが、やはりそれ相応のクオリティだったことは間違いないだろう。

ただミュージカルが嫌いと言ってもミュージカルがダメだとは思っていない。これだけのクオリティのもものをつくるのにいったいどれくらいの練習と入念な打ち合わせが必要か、想像しただけで眩暈がしそうなものだ。私がむしろ苦手なのはミュージカル映画よりミュージカル映画が好きな人だと思う。
わたしとおなじように「ミュージカルはちょっとなぁ」って思ってる人こそハマるかもしれない。ミュージカルの臭さが抜けていてとてもシンプルでわかりやすく見やすいのでぜひ一度見てほしい。

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