妻と娘と三人でトウモロコシ畑で住んでいた主人公に突如どこからともなく聞こえてくる声。「If you build it, he will come.」
それが一体何を指しているのかわからなかったが、ふと思いつきトウモロコシ畑を伐採して野球場を作る。という入りは完全にやばい奴。そしてその野球場に、かつて賭博の疑惑でメジャーリーグを追放されてこの世を去ったジョージャクソンが現れる。というまだまだやばい話。その後も天のお告げ通りにどんどんいろんなことをしだす主人公は傍から見ればやばい奴だが、それを反対しながらも納得する嫁も相当イカれてる。この映画はめずらしくイカれてる側のいかれっ放しで全面勝訴するという仕立てである。そのため現実世界の話なのに(幽霊として登場する人物も大体実在する)ファンタジーが過ぎるというなかなかお目にかかれないぶっ飛び具合。でも父と子の話だったり、それぞれのやり遂げられなかった積年の想いだったりが丁寧に描かれているので、心情はとても近しいものを感じる。だからこの映画は名作と名高いのだろう。とくに野球という日本人ならだれもがかつて父親とやったことがあるだろうコンテンツを題材にしているので、共感度も高い。イギリスでは間違いなく日本のような評価は得られなかっただろう。



劇中用語

この映画では多数の野球の固有名詞が出てくるので少しだけ予習しておくとこの映画の入り込み方も違うかも。

ベーブルース

言わずと知れた野球の神。今の大谷翔平のような投げて打って一流の元祖スーパースター。

ジョージャクソン

1910年代のアメリカメジャーリーグの元野球選手(外野手)。右投左打。サウスカロライナ州出身。マイナーリーグ時代、足に合わない小さなスパイクしか持っていなかったジャクソンは、靴擦れから足によくマメが出来たため、ある試合でスパイクを脱ぎ捨てて裸足でプレーした。この逸話から、「シューレス(裸足の)・ジョー(Shoeless Joe)」という愛称を持つ。

真鍮

銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上のものをいう。真鍮(しんちゅう)と呼ばれることも多い。

リグリー球場

アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにある野球場。MLBシカゴ・カブスの本拠地球場である。現在の大リーグ全30球団の本拠地球場の中でボストン・レッドソックスの本拠地球場のフェンウェイ・パーク(マサチューセッツ州ボストン)に次いでMLBで2番目に古い球場でもある。特徴的なのは、左翼と右翼のポール際(ライン付近)で、このあたりには観客席がないのでそこだけ奥へ窪んだような形で、外野が特別深くなっている。左中間と右中間は、フェンスが直線的な形状をしているのであまり深くない。
他の球場にはないリグレー・フィールドの特徴として、外野フェンスにツタが生い茂っていることが挙げられる。1937年にビル・ベック考案のもと植えられたもので、時期によって茂り方や葉の色が異なり見る者を楽しませる。打球がこのツタの中に入り込み野手からの申請があると、球場特別ルールで二塁打になる。

テレンスマン

実在しない人物だがモデルはJ・D・サリンジャー。「ライ麦畑でつかまえて」が有名な作家。

エベッツ球場

アメリカ合衆国ニューヨーク市ブルックリン区にかつてあったスタジアム。MLBブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)のホーム球場である。アメリカンフットボールでは、NFLブルックリン・ライオンズが1926年の1年限り(1年でチーム解散)、ブルックリン・ドジャースが1930年から1944年まで、AAFCブルックリン・ドジャースが1946年から1948年まで、それぞれ本拠地にしていた。

最後に音楽を

劇中音楽

The Doobie Brothers – China Grove