彼らを「一度聴いたらクセになる!」と興奮気味に紹介したTBSのアナウンサー。それをテレビ越しに聞いた私は首をかしげる。

緑黄色社会を評するときに「クセになる」は適切なんだろうか。

「クセになる」とは一般的に、特徴的な歌声やメロディ、病みつきになるほどに濃い味付けのある音楽を指す場合が多い。中にはそれを嫌う人もいるかもしれない。だけど、じわじわと、その特徴がふと思い起こされいつの間にか欲している自分がいると気づいた時、それはクセになっているのだ。ドクターペッパーがクセになる、パクチーがクセになる、といったようにだ。

緑黄色社会に「クセになる」要素はあるだろうか。私にはむしろその正反対のように思う。くせがなく、一切の個人的好みを介入させない。辛い物が苦手な人も、酸っぱい物が苦手な人も、あるいは甘いものが苦手な人でも安心して食べられる。それが緑黄色社会の個性だ。えり好みをさせない、万人に受けるための手札をそろえている。

王道メロディに王道的なサウンドメイキング。そしてなにより綺麗でまっすぐ伸びていく歌声を持つボーカルの長屋 晴子はこのバンドの最強の武器だ。これを「クセになる」方が難しい。くせがないからこそ多くの人に人気を持つタイプだ。良し悪しではなく、タイプが違う。

おそらくだが、あのアナウンサーが言わされた「クセになる」はどうせディレクターかADが適当に作ったセリフなんだろうが、「一度聴いたら耳につき、今話題沸騰中」という意味を込めたかったに違いない。そういう意味での「クセになる」だろう。いちいち言葉尻を捕まえてあーだこーだいうのが私のやり方だとしても少し意地悪い気もする。それは理解しているつもりだ。



「Novelbrightが5秒なら、私たちは2秒で心をつかみます」と対抗意識を燃やす彼ら。なるほど、緑黄色社会のライバルはNovelbrightなのか。妙な合点がいく。

一応前置きしておくと、私は「Novelbrightがいかにダサいかだけを語る」という記事を書くほどにあのバンドをこき下ろしているが、緑黄色社会にはそこまでの評価を下しているわけではない。
決して面白みのあるバンドとは思わないが、十分多くの人の心を惹きつける素養が整っている。そしてまとまりがある。Mrs.Green Appleの下位互換といったところか。ミセスはカリスマ性がありバラエティ豊富な音楽性があり、実験的な選択ができるほどに強気なので、まずは緑黄色社会もそこを目指してほしい。



いまは最大公約数にウケるための楽曲づくりを徹底してもらい、もうしばらくして安定期に入れば、職人肌と芸術肌の良いバランスを目指してほしい。

そうすればきっともっといいバンドになれるだろう。

その時に改めて「クセになるバンドだなあ」と紹介しよう。