ここでは最も素晴らしいアルバムジャケットに贈られる。



優秀賞

星野源 – POP VIRUS

 

玉名ラーメン – 空気

 

FNCY – FNCY

 

DYGL – Songs of Innocence & Experience

 

エドガー・サリヴァン – NEWS

 

SEKAI NO OWARI – Eye/Lip

 

 

 

大賞

 

羊文学 – 1999




フィジカルリリースこそされていないが、1999年という時代的な世紀末と感覚的な世紀末があった年に生まれた彼ら。そこにクリスマスがのっかってさらに終末感を加えているのに、ジャケットはそのようなそぶりを見せない。まだ去年末の段階なのでボーカルの塩塚の髪も落ち着いていて、どこか楽しさとは裏腹な表情を浮かべている。持つ手には銀の紙袋。クリスマスプレゼントか否か。絶妙な構図のショットにうっとりする。その音楽性のみならず、こういうジャケットから出てくる味もまた深く楽しいものだ。

 

総評

CDを買わなくなったせいで、ジャケットに気を止めることが無くなった。それはとても寂しいことで、つまらないことだ。多くの音楽ファンからは叱責もされそうな忌々しき事態である。そんな状態に自分がなりつつあるのが非常にもどかしい。ジャケットをひとつひとつ愛でていたい。でもスマホのサブスクのあんな小さな画面では細かく見ることもできない。だからどんどん見過ごしていき、容易く消費してしまう。

音楽は音だけでなく、その視覚的な要素からも形成されている。われわれ人間はよっぽど特殊な能力を持つ者でないかぎり、音だけで判断はできていない。かっこいい人の演奏する音楽はかっこいいし、ダサい人の音楽はダサく見える。当たり前の話だ。これからどうなるんだろう。ジャケットはいらなくなるんだろうか。手を抜いても構わなくなるんだろうか。いや、そんなことはない。いつだってジャケットは展示物になりえて、コレクション性を帯びているのだ。自分を戒めるためにも、この賞は続けていきたい。





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