キャリア問わず、今年話題をふりまき活躍したアイドルに贈る。アイドルの定義は筆者の独断による。

優秀賞

airattic

B.O.L.T

=LOVE

ExWHYZ

いぎなり東北産

なんちゃらアイドル

フィロソフィーのダンス




大賞

BiSH

アンダーグラウンドで絶大なる支持を残し解散した初代BiSを引き継ぐ形で始まった新生クソアイドル、BiSH。その後の活躍は語るまでもなく、彼女たちも「楽器を持たないパンクバンド」という(なんともしまりの悪い中途半端な名づけだが)キャッチコピーでアイドルという枠ではない捉えられ方をし始めるのは「オーケストラ」あたりからだろうか。私自身もBiSHをアイドルというカテゴリーで年間ベストでは扱うことはなくなった。6人それぞれが自分のステージを持ち、セカンドキャリアへの活路を見出している。最も白眉なのは当然早速映画の主演を務めたアイナ・ジ・エンドだろう。彼女の存在はこのグループを大きく動かしたことは自明の事実であるし、作家に転向したモモコグミカンパニーや、先輩のファーストサマーウイカを追随するようなタレントへの転身を決意したハシヤスメアツコ、アートの路線で進むリンリンとは対照的に歌手として続けていくことを選んだCENT(セントチヒロ・チッチ)とPEDRO(アユニ・D)も目が離せない。BiSHとして目指すべきところは全て達成した今、この存在の大きさについて改めて実感しておく必要があるだろう。

総評

アイドル、とくにジャニーズという言葉がここまでネガティブになり、そしてついにはジャニーズという言葉自体が消え去ってしまうとは全く予想できるものではなく、去年のアイドル賞で「ジャニーズの勢力図も大きく変わるかも」と言っていたが、ある意味でそれは当たり、ある意味ではまったくもって見当違いだった。これは今に始まったことではなく、私もずっと懸念していることではるが、アイドルという商業自体のあやうさ、人気であることが最優先事項になる商売のうさん臭さと裏の脅迫、枕営業、搾取の問題はいまだ解消される気配はない。おそらく、売れたい若者と売らせてやる大人の関係性が存在する限り消えうることはないだろう。その分、TikTokやYoutubeなどで、そういった力関係を抜きにした人気の博し方も登場し、それはそれでモラルやルールのずぶずぶさも問題点としてはあるが、一つの光明にはなっているかもしれない。”人気者になるために大人が出させてやる”という図式は”人気者を大人が使わせてもらっている”に変わることで力関係のイクオリティが担保できるはずだ。もちろん、その分自己の裁量と努力と才能に大きく依存するすることにはなるが。

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