ついに完結。77年に始まった旧三部作から、新三部作、そして2015年からの続三部作。スターウォーズファンとしてはなんとも感慨深いものがある。

私がスターウォーズを初めて見たのはファントムメナスで、当時小学生だった自分にはあまりにダースモールがかっこよすぎて毎日買ってもらったライトセーバー振り回していた。あの当時小学生だった人の多くはそんな経験があると思う。
語ればきりがないのだが、自分にとってスターウォーズはこの新三部作(プリクエルトリロジー)なのだ。やっぱり80年代の映像は子供の時分には見るのが辛かった。トロい剣術。ちゃちい宇宙激戦。今見返したらおもしろいのだが、個人的な感情の移入の仕方はやはりプリクエルトリロジーの方に分がある。
なにせ、私は政治物が好きなので、あの共和国と分離主義者、元老院の腐敗といったあの様を見るのがとてもおもしろい。ちゃんばらごっこと捉えられがちな作品だが、実はとてもこまかな話し合いがあり、裏工作がある。もちろん映画に描かれていない登場人物などの設定も見逃せない。そして、”どうやって共和国は腐敗して帝国に敗北したのか”の過程はぞくぞくする。

という個人的な前作までの感想は置いといて、今作「スカイウォーカーの夜明け」について語ろう。

「スター・ウォーズ」の新たな3部作としてスタートした「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015)、「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(17)に続く3部作の3作目。「スター・ウォーズ」サーガのエピソード9にあたり、1977年のシリーズ1作目から計9作品を通して語られてきたスカイウォーカー家の物語が完結する。「フォースの覚醒」を手がけたJ・J・エイブラムスが再びメガホンをとり、主人公のレイを演じるデイジー・リドリーほか、ジョン・ボイエガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザックら3部作の主要キャラクターを演じてきたキャストが集結。初期3部作の「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」(80)、「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」(83)に登場した、ビリー・ディー・ウィリアムズ演じるランド・カルリジアンが再登場するほか、シリーズを通して重要な役割を担ってきた、16年12月に急逝したキャリー・フィッシャー演じるレイア・オーガナも、「フォースの覚醒」製作時に撮影されていたものの未使用だった映像を用いて登場する。

満足度を表すなら「7から始まった(始まってしまった)シリーズが散々散らかしてきた風呂敷をきちんと畳んだことに関して言えば大満足」と言えるだろう。
快作とか傑作とは思わないが、今までの8作の要素がきちんと詰め込まれたダイジェスト版みたいなもので、簡単に言えば、「劇場版 SPEC〜結〜」に近しい全キャスト大集合の巻!だった。
1のポッドレースを彷彿とさせるスピーダーレース。ジェットで飛ぶトルーパー。6のような蟻地獄。4のような陽気な音楽。3のムスタファ―の戦いを模した決戦。最後のシーンは7に戻るかのような遊び心。新キャラのバランスも良く、そして歴代ジェダイたちが語りかけるシーンはファンならだれがだれか当てられるだろう(おそらくアソーカタノもいたのでは)。

細かいネタバレは避けておいたとしても、やはり全体的なクオリティは高いと言える。ただ全体的に暗いのでよく見えないのと、お前らだれだよっていう存在や、それどういう意味だよ、と突っ込みたくなるシーンも多々。
その中で一番感動したのはチューバッカ。彼が、あのシーンで、ようやく。ね、あれ貰えるんだが、感動する。一方で”大切”な人を亡くしたときの取り乱し方はグッとくる。
思えば彼はエピソード3からの古い登場人物で、そのころからヨーダを知り、仲間を失い、一人でハンソロと宇宙を旅して、レイアにルーク、R2D2、C3POなどと出会い、そしてルークとも別れ、ハンソロを失くす。彼は全ての攻防を見てきたのだ。それだけで重みが違う。何を思うか。
スターウォーズが素晴らしいのは、いつも主人公が勝てるわけではないという事。そこにはそういった素敵なサブキャラの活躍があり、もっといえば名もなき(原作ではきちんと名前があるが)レジスタンスや反乱軍の戦闘パイロットがいるのだ。その無数の名もなき人たちの力で、全てを成し遂げてきたからこそ、感動できる。

スターウォーズを語るにはネタバレはやむを得ないのでここまでにするが、ぜひとも早い所みてもらって、また4から見始めるサイクルをしばらく繰り返してほしいものだ。

あ、最後のカイロレンが暗いところで戦うシーンは必見。闘う相手が相手なのでエモさも増している。かっこよかった。