上手く生きていくのがどうにも苦手な男が主人公の映画。どびっきり破壊的だったりラストの衝撃に驚いたりすることはない、どっちかと言うと地味な映画なのだが、その地味さがリアリティを生むし、もどかしさを増長させる。

「ジェシー・ジェームズの暗殺」「インターステラー」のケイシー・アフレックが主演し、心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿を描いたヒューマンドラマ。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本で知られるケネス・ロナーガンが監督・脚本を務め、第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。アフレックが主演男優賞、ロナーガン監督が脚本賞を受賞した。プロデューサーにマット・デイモン、主人公の元妻役で「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ、兄役で「キャロル」のカイル・チャンドラーが共演。アメリカ、ボストン郊外で便利屋として生計を立てるリーは、兄ジョーの訃報を受けて故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。遺言でジョーの16歳の息子パトリックの後見人を任されたリーだったが、故郷の町に留まることはリーにとって忘れられない過去の悲劇と向き合うことでもあった。

とはいえ、批評家たちからは絶賛を浴び、多くの賞を受賞した話題作ではある。なんたってこれでアカデミーの主演男優賞を獲得した主演のケイシーアフレック(ベンアフレックの弟)の不器用で不愛想なたたずまいはずば抜けていやらしくリアルだ。これが受賞作品の演技なのか、とまじまじとみつめる。

街を離れるのか否か。お金はどうするのか。甥っ子を後見人として引き取ったもののどうにもうまくいかない。甥っ子の彼女のお母さんともうまく話せない。腹が立って仕方がなくて窓ガラスをぶち破ってしまう。
そんなフラストレーションがずっと続く映画。もちろん、明るい映画とは言えないけれど、かといって暗澹たる気持ちを抱え続ける暗い映画と解釈されるのも少し違う気がする。観てみたらわかるが、身の締まった充実感溢れる作品なのだ。暗さはあれど落ち込みはしない。少しずつ主人公の気持ちが変わっていく様を眺めるのだ。そうすれば最後に泣きながら謝られるケイシーアフレックの何とも言えない表情に引き込まれるはず。

ちなみに甥っ子の役を演じたルーカス・ヘッジズも端整な顔立ちで、でも素直じゃないのに感情をあらわにするときのシリアスさは逸品。
とりあえずどちらもかっこよすぎて、こんな家庭あるのか…うぉ…イギリスぅ……。となる。あと基本何言ってるか分からないのでケイシーアフレックはもう少しはっきり喋ってほしい。