悪名高きハーベイ・ワインスタインをの悪行を世間に暴くために奔走する新聞記者二人の戦いの話。これがのちのMeToo運動に繋がり現在のフェミニズムの拡大の一役を買っている、確実に時代が変わった事件の一つ。なので多分この事件についてはいろんな角度からこれからも映画化されていくだろうし、その数ある中でもこの映画はグッとくるいい映画だった。

映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタインによる性的暴行を告発した2人の女性記者による回顧録を基に映画化した社会派ドラマ。

ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターは、大物映画プロデューサーのワインスタインが数十年にわたって続けてきた性的暴行について取材を始めるが、ワインスタインがこれまで何度も記事をもみ消してきたことを知る。被害女性の多くは示談に応じており、証言すれば訴えられるという恐怖や当時のトラウマによって声を上げられずにいた。問題の本質が業界の隠蔽体質にあると気づいた記者たちは、取材対象から拒否され、ワインスタイン側からの妨害を受けながらも、真実を追い求めて奔走する。

「プロミシング・ヤング・ウーマン」のキャリー・マリガンと「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」のゾーイ・カザンが2人の主人公を演じる。「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」のマリア・シュラーダーが監督を務め、ブラッド・ピットが製作総指揮を手がけた。

映画.comより

とにかくワインスタイン側が醜悪で、弁護士たちも口汚くののしりたい放題で、それを哀れみの目というか呆れて反論の一つもしないあのミーガンの顔つきは忘れられない。

丁寧にしっかりと時系列で描かれているので、サスペンス的な見方もできるし、どうやって打開していき、なにが必要なのかもはっきり明示されとても分かりやすい映画だと思う。演者はみんな最高の演技しているし、なにより主人公二人がキャリー・マリガンとゾーイ・カザンで正解だったと思わせるくらいに完璧だった。もちろん新聞社内の上司や被害女性たちの振り絞った告白など見どころはたくさんあるが、それでも余りある二人の躍動ぶりはこの映画の見どころの一つだ。

ワインスタインの悪行はもちろんだが、それを許してしまう(見逃せてしまう)社会構造、制度の問題だと切り込む点も、今までの女性被害の問題の切り口ではなかったことが、この後のフェミニズム運動に大きくかかわっているだろう。日本でも今ジャニーズの問題が大きく取りざたされているが、こうやって巨大な権力を持ったトップの人間をたたきおろすには、一方で少なくない人の勇気と犠牲がつきものであるというのは変わらない問題だ。

しかし少なくとも、この映画が、この事実が、世の中を大きく変えたことは間違いないし、今は犠牲を伴っても、その価値があると信じなければならない。