ライブレポみたいなただの雑感

ざっくりしたタイトルになったが、こうとしか言いようがない。この4組が順々に音楽を鳴らしていくイベントだから。南堀江のSOCORE FACTORYで開かれたこのイベント。きっかけは去年momを教えた友達からこのイベントに誘われたことだ。そういうアンテナは全然張っていないので感謝しかない。歩いて10分なので即向かう。

 

Newdums


まず登場してきたのは「唯一関西のバンドだ」と自称していたのにMCが羊文学並みにフワフワしていたNewdums。失礼ながら全く予備知識なしで、名前すら初めて知った。現場に足を運べば見えてくるバンドもまた違うのだろうなあと少し考えていたり。
初っ端からミドルテンポのブルージーな楽曲が続く。どうだろう、わかりやすく言うならArctic Monkeysの「AM」以降のサウンドになるのか。UKロックを下敷きに、その癖のあるハスキーな声を活かしてロックを作っていた。良い意味で日本らしいクサメロがなく、キーとなるリフを中心に構成されている子気味良い音楽だったので、すごく安心して聴けた。知らない曲でも楽しめるし、ああこの人たちとは絶対うまい酒飲めそうだわ、と相手が私と飲みたいかも確認しないままで思ってしまうくらいにルーツがしっかり見える。欲を言えばもう少しスローバラードが一つ欲しかったかな。凄く味のあるバンドだしその音楽以外もちょっと聴いてみたかった。ただ楽曲そのものは本当に気持ちよくて、ふつうの音楽バーみたいなとこで歌ってほしいっていう気持ちも芽生えた。いまどんどん日本のロックシーンも海外のトレンドをさりげなく入れてるバンドがアツくて、10年代前半にいた00年代邦楽バンドをトレースした人たちがどんどん駆逐されていく中、若手層が薄めなので狙い所かも。ちゃんと出るとこ出て評価されればどんな形でも世に出ることはできるし(その最たる例がMomだし)、期待できるアーティストだった。

 

 

The Wisely Brothers


続いて登場したのはThe Wisely Brothers。去年何度も名前が挙がった話題のばんどのひとつである。彼女たちの持ち味である緩さと、ボーカルの一対一で語り掛けるような歌声は安らぎをもたらす。そっと耳元に言葉を並べていく手法は他のアーティストにもいるが、彼女たちは少し独特だ。天真爛漫さを兼ね備えながらしっとりしたサウンドと踊りたくなるベースラインの違和感が気持ちいい。ただ、良曲を並べただけに聞こえてしまい、単調だったようにも思う。音楽を聴かせるだけにはポップすぎるしかといって会場を巻き込んだパフォーマンスでもないので、目の前でしっかりよくできた楽曲が次々と披露されただけに過ぎない。音源で聴く分には素晴らしいが別段加点されることもない、というと少し厳しめだが、あまり私はMCのキャラとかを評価しないので(本人たちも別にそれを望んでないだろうが)音源の期待通り、といったところ。人柄は良いだろうし、応援してあげたくなる気持ちもよくわかる。

 

 

 

Mom

Momは去年の秋ごろに「タクシードライバー」を発見して以来要注目のアーティスト。今回このイベントに誘ってくれた友人はそもそも私がLineで彼の「タクシードライバー」を送ったことがきっかけでMomを好きになってイベントを知ってくれたので、やっぱり良い音楽はシェアしておくに越したことないなと感じた。
Momのアルバム「PLAYGROUND」は当ブログの年間ランキングでも4位にランクインしていて、それくらいに期待していた。一人で全部作った、というのはさすがにもう驚かない時代になってきたが、iphoneだけで作った曲もあるというのはやっぱり驚く。ずっと彼の曲を何となく聞いてた時はとりあえず「ラッパー」と枠づけていたが、この日のライブを見て、全然ラッパーとは違うなあと。ポエトリーシンガーでもない。もっと身近でもっとありふれててあれもが思いつくことを18の男の子が恥ずかしげもなく披露する新しいジャンルだ。女の子じゃなく、男の子の気持ち。似たようなジャンルにぼくのりりくのぼうよみがかつていたが、彼はもっと詩的で”僕の気持ち”を端的に表したものではない。
誰に似てるんだろうと必死に考えたけど思いつかない。音楽は耳触りがよく夜のホームパーティみたいな、そんな軽やかさを持っている。盛んに客に歌わせたりロボットダンスを強要したり、可愛らしいセットを持ち込んだりと、一人ならではの場を盛り上げる工夫も忘れない。肝心の歌は実直で背伸びのない等身大のMomだった。多分ああいう男の子に心ときめかせる女子も多いはずだ。ああみえてクラブとか行きまくってるからな!男なめんなよ!とくぎを刺しておいたところで一曲リンクでも貼っておこうか。

10代だからこそできる日常の切り取り方はある。そこにもうアクセスできないやきもき感と羨ましさが交差しながらライブを見る。終わった時に一番充実感があったのはMomのライブだった。客も一番明るかったように思う。若さばかりとりあげるとそれ以外の魅力がないように聞こえるが、そんなつもりで言っていない。ただ、25であの音楽はある意味きついものもあるので、これからの変化と深化に期待したい。こういう才能がインディーの小さなハコで消費されて消えていくのは辛いのでどこか一発ジャニーズ辺りに作曲依頼とか来ないかななんて考えている。

 

 

羊文学

当ブログの年間アルバムランキング1位が羊文学の「若者たちへ」だ。去年MINAMIWHELLで観て以来、2度目のライブ。簡潔にいえば前のライブの方がよかった。でも羊文学は羊文学だたしそこは変わらず好きだなあと言える。ギターの轟音もボーカルの優しく冷たい声もすごく魅力的だ。前回の方がよかったと思う理由は些細な事の集まりの結果であり決してライブ自体を否定するつもりはないしつぶさに検証するつもりもないが、一つ挙げるとすればベースが思ったよりバカそうでちょっと困るくらいか笑


冗談だ。

アンコールでは「マフラー」を演奏。前回披露しなかったので聞けて何より。
ああ、あとひとつお願いがあるが、「ステップ」はぜひ原曲のスピードに戻してほしい。速くするよりはマシなので最良の選択かもしれないが、できれば手を加えない方が個人的には冗長にならずに長いAメロからスッとサビへといけると思うし。ドラムのアレンジはなかなか好きだ。まあ個人の感想なのでみんながどう思っているかは知らないが。

 

 

結果的に

行ってよかった。4組ともちゃんと音楽してるし、そしてクオリティもあった。こういうバンドがフェスで今のメンツととってかわって出られたりしたらまたすごくシーンも様変わりして面白いのになあなんて思いながら、まだまだ知名度足りないよねとも。ブログでももっと推していこうなんて考えたりしたけどあまり褒めたり音楽について文字にするの得意じゃないからまた考えておく。
徒歩10分のライブハウスなのですごく便利だしまた機会があれば行きたい。